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私が海に通うわけ

この夏、仕事がない時は、ほぼ海に通っている。
何をしているかというと、素潜りの練習だ。
具体的には「ジャックナイフ」という、真下に素早く潜る技術を身につけようと、一人体育会系のノリで、ノルマを決めて潜水の特訓をしているのである。

別に、サザエやアワビの密漁をしたいわけではない。
私のターゲットは、そもそも食べるものではない。
でも、カラフルで多様でかわいい。
そう、ウミウシを探したいのだ。
そしてできれば、ウミウシのいい感じの写真を撮りたいのである。

もちろん、それなりの機材をそろえ、タンクを背負って潜る方が、圧倒的によい写真が撮れるし、いろんなウミウシに出遭える可能性も高まる。
しかし、それには時間もお金もかかる。
最低でも3時間かかるダイビングショップまでの往復、万単位で飛んでいくダイビング機材レンタルやボートの乗船費用、カメラ本体、ハウジング、水中ライトなどの撮影機材で、数十万は軽く消えていくだろう。
空き時間に、お小遣いでちょろっとできるものではない。

私が欲しいのは、今、この場を楽しむ趣味である。
遠くに行かなくても、ここでできる趣味である。
この火炎地獄のような猛暑を、楽しく過ごすための趣味である。

特別な日の、特別なお楽しみは、あればあったでうれしいけれど、そっちじゃないんだなあ。
その点、バイクでちょっと走れば海に行ける敦賀で『素潜りを極めて、ウミウシの写真を撮りたい』というのは、かなり私のニーズを満たしている。
潜れば海水は冷たいし、潜水くらい努力すればできそうだし、しかも成果物がきれいで珍しくてかわいい。
最高じゃないか。

今日は、杉津というところで、これまで見たことのないウミウシに出遭えた。

ちなみに、こちらは「ムカデメリベ」という名前のれっきとしたウミウシだ。
泳いでいたら目の前を、海藻の切れ端につかまって「ムカデメリベ」が流れてきた。
たぶん、自分が食べていた海藻の茎を食べてしまって漂流中だったのだろう。

ウミウシは、探すと見つからないけれど、こんな風に、偶然むこうからやってくることがある。
こういうのを見つけると、一日気分が良い。
こりゃついてるね、宝くじでも買っちゃおうかな、と思う。
そして、ウミウシの場合「昨年、あそこで見られたから、今年もいるに違いない」というのが、あまりあてにならない。
その年によって、発生頻度や、出現する時期や場所も微妙に違うらしいのだ。
蛍より遭遇するのがむつかしい。

そこも、そそられる一つの要因である。
ウミウシハンターは、珍しいウミウシを探して今日も行くのである。

**連続投稿182日目**

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