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反面教師

今日は、敦賀最後の夜。
引っ越しを見据えて、計画的に冷蔵庫を空けてきたので、夕飯は外に食べに行くことになった。
敦賀で美味しいものを食べるとなったら、絶対に海鮮である。
駅前の『まるさんや』に出かけた。

ここは本当に新鮮で、何を食べても、ハズレがない。
磯臭さが苦手で、ウニが嫌いだった私なのだが、生まれてはじめてウニを美味しいと思ったのが、ここ『まるさんや』なのである。

美味しい海鮮丼を食べながら、私は幸せな気持ちで、夫にもう一つ幸せな報告をした。
どうしてもやってみたかった仕事がうまくいき、ある会社の外注ライターとして、採用されたのである。
テストライティングの出来次第で、今後の執筆料も大きく変わるため、これは、夫が退職して収入が途絶えた我が家にとっても、良いニュースのはずだった。

ところが、夫の第一声。
「聞いたことない会社だな」
続いて、第二声。
「お前にできる仕事なら、誰でもできるんじゃないのか?逆に落ちた奴はいるのか?」
とどめの第三声。
「騙されてるんじゃないのか?金が振り込まれるまでは、信用できないな」

……なんだ、こいつ?

そこはまず
「おめでとう!」
でいいんじゃないのか?

そういえば、夫は子供たちが受験を乗り越えた時も、おめでとうの前に
「まあ、あの程度の学校なら、受かって当然だがな」
と言い放ち、私の顰蹙をコンテナ1000ダース分くらい買ったのだった。

しかし、こと、共感能力に関しては、夫をアテにしないと決めていたのに、またやってしまったのは私だ。
嬉しいことを一緒に喜ぶ、とか、辛い時黙って話を聞いてくれる、とか、そういうことは、夫に期待せず、外注するのが正しい方法なのだと、散々学んできたのに。
夫には、悪魔のような頭の良さと、頑丈な体でよく働くということ以外、期待してはいけないのだ。

こういうことが積み重なり、かなり慣れたつもりだったが、やっぱりしんどい。
指摘すれば謝ってはくれるので、根が悪い人ではないのも知っている。
ただなぁ。
じわじわ、傷つくんだよなあ。

反面教師として、自分は他人に同じことをしないように、気をつけるしかないんだろうな。

**連続投稿633日目**

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