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【北陸ウミウシ日記】ウミウシが千円札を拾わせてくれた話

三泊四日の愛媛の旅から戻ると、敦賀は秋の気配が濃くなっていた。
相変わらず暑いのだけれど、空は青が濃くなり、トンボは群れで飛んでいるし、草むらから聞こえる虫の声がすっかり秋だ。
30℃越えていようが何だろうが、ちゃんと9月に間に合わせるように、書割が秋にかわっていくところがすごいと思う。

久しぶりに、日本海のウミウシ探しに行ってきた。
夏休みが終わり、いつもの海水浴場は閉鎖され、大型クレーン車による海の家の撤去作業が始まっている。
プールの中を泳いでいるのかと思うほど、透明度の高い海だったのに、ほとんど人がおらず、これを独り占めできるという贅沢極まりない日である。

けれど、ウミウシは、あまり見つからない。
どこに行ってもスタンダードな「いつものメンバー」ばかりで、とくに、サキシマミノウミウシがあちこちで目立っていた。

サキシマミノウミウシ
シロウミウシ
目の前を流れてきたので、観察ケースに入れて撮影。ミヤコウミウシ
アオウミウシ

その、いつもの海の中に、これが落ちていた。
一瞬目を疑ったが本物である。
拾って、陽にかざすと、透かしもちゃんと入っている。

「貴重品は、車の中に置いとくとしても、シャワー代くらいは必要だろうから、千円くらい持っていようかな」
と海パンのポケットにお札を入れたまま、忘れて海で遊んでしまい、気付いたら千円が消えていたのだろう。
気の毒な誰か。
『海水浴あるある』だ。

今さら言うことでもないが、私はこの夏、泳いでいて海底に見つけたごみは、潜水トレーニングを兼ねて拾いまくってきた。

全部拾い物。シュノーケルは、まだ新品。

「てことは、この千円は、海の神様からの贈り物的なあれかな?」
と、都合よく解釈しても、ばちは当たらなそうな……?

観察ボトルに入った夏目漱石

よく洗って、冷蔵庫に貼りつけて乾燥させてみたけれど、まだ潮の香りがする。

考えてみれば、明日(いや、もう今日だ)からは、私が初めて体験する「敦賀まつり(気比神宮大祭)」だ。
これは、気比神宮の神様にお返しするのが、よさそうな気がする。
眠って、起きたら、ひとっ走り、奉納しに行ってこよう。

**連続投稿578日目**


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