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「あれが食べたい」わけではなく

夫が毎日台所に立ち、夕飯を作ってくれるようになってすでに半年。
何もしなくてもご飯が出てくる、子どものような生活を堪能できていて、ありがたいなあ、うれしいなあと思っていたのだが、何となく物足りない。

まがりなりにも30年主婦をしてきた私には、たとえ手抜き料理でも、私の味というものがある。

夫のご飯は、いわゆる「ていねい飯」であり、それはそれは美味しいのだが、やはり夫の味であり、私とは好みがまるで違うのだ。
たまには自分で作ったものが食べたい。

しかし、夫が調理を担当するようになったのは、「歯の治療中で、硬いものが食べられないから」という理由もあって、私が作る「ざっくり飯」には、耐えられないせいでもある。
となると仮に私が夕飯を作っても、結局、毎日柔らかくて優しい味の和食がメインとなるわけで、今と大差ない。

つまり、今の私の舌が求めているのは「がっつりした歯ごたえの」「味が濃い」「ジャンクっぽい」ご飯なのだろう。
具体的には、スペアリブを甘めのたれに付け込んで、ワイルドに焼いただけのもの、とか。(おお、うまそう)
今の夫がそれを食べたら、きっと治療中の葉が数本、抜けてしまうような、そんな料理を体が求めているのである。

夫は献立を考えるのが面倒だから、というのもあって、毎日「今日は何が食べたい?」と聞いてくれるのだが、食べられない人の前で、1人だけがっつりしたご飯を食べるのは申し訳ないし、私の分だけ別に作らせるのは、もっとダメだろう。
そんなわけで、私は自分の食べたいものをリクエストできずにいる。

でも本当は、「あれが食べたい」というものが、私の中に明確にあるわけではない。
ただ、夫と一緒に硬いものでもなんでも「おいしいね」と言いながらむしゃむしゃ食べたいのである。
あれこれ気にせず「口の周りをべたべたにしながら、肉汁を滴らせて食べるワイルド飯」を堪能したい。
もう、一年近く、そういう夕飯を経験していない。

夫の歯が早く治るといいなと思うけれど、たぶん、この先の我らのご飯は、柔らかくて、細かくて、飲み込みやすいようにとろみをつけたご飯に移行していくのだろう。
2人で骨付き肉にかぶりつく日は、再びやってくるのだろうか。
歯が悪い状態って、こんなにもQOLに影響するのだなあ。

これを読んだ方は、2カ月に一回の歯科定期検診をお勧めする。
ちゃんと歯石を取ってもらって、歯周ポケットの深さを測ってもらい、歯周病予防を心がけた方がいい。
歯って、本当に大事です。

**連続投稿718日目**


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