見出し画像

やってみたいのにできないこと

既に世の中では「当たり前のこと」として定着してしていることなのに、その当たり前に手が出ない事がある。

例えば、うちの夫は「無洗米」と「食洗機」がある便利な暮らしに、手を伸ばそうとしてくれない。

無洗米は、一度だけ買って試した事がある。
「これは洗わなくていいお米です」と書いてあるのが信用できない夫は、無洗米をボウルにあけて洗った。すると、みるみる水が白く濁り、夫は
「ほら見たことか!」
と勝ち誇って
「もう買いません」
と宣言した。

白く濁ったのは、いわゆる「米粉」がついているからであり、糠は落ちているのだからと説明しても、
「その違いがなぜお前にわかるのだ?」
と頑なに拒否するので、我が家ではいまだ米研ぎから解放されない。

食洗機は、子供が小さかった頃に私の貯金で買って導入していたのだが、音がうるさい、電気代がもったいないと、撤去されてしまった。

どうも、夫は「楽をする」ことに、ものすごく抵抗があるようだ。ルンバなんて100年生きてヨボヨボのおじいちゃんになっても、絶対、玄関から先に上がらせてもらえないだろう。
「うちには、もう掃除機があるからいい」
とか言って、ね。

私は、夫のような心理的抵抗は特になく、割となんでもひょいひょい受け入れるタイプであるが、ひとつだけできないことがある。それは、ある調味料を使った料理だ。既に30年前からそのレシピは知っていて、一度はやってみたいと思いつつ、できないのだ。

そのレシピとは、コーラを使った肉じゃがである。
最初にそれを見たのは、週間モーニングの最長連載を誇る「クッキングパパ」であった。「お洒落な若い人たちにピッタリ」という、ものすごいキャッチコピーと共に作り方が載っていたような気がする。

「炭酸の力でお肉が柔らかくなり、美味しい」とのことで、確かに美味しそうと思った記憶もある。しかし、何度勇気を出してコーラを買ってみても、それを鍋に入れる事ができない。コーラをグラス以外の場所に注ぐことを、しかも生肉にかけることを、脳が拒否するのである。コーラはそんなところに注いでいいものではない、と、頑なな私が顔を出す。

コーラの原材料を調べてみても、特に肉じゃがに入れてはいけないものはない。

「コカ・コーラ」は、糖類(果糖ぶどう糖液糖、砂糖)、炭酸、カラメル色素、酸味料、香料およびカフェインからできています。
コカコーラジャパン「よくあるご質問」より

この抵抗が、いったいどこからくるのか、本当に不思議でならない。

今日も、コーラを買ってみたのだが、きっと、使われずに冷蔵庫にいすわるのだろうな。

**連続投稿129日目**

最後まで読んでくださって、本当にありがとうございます。 サポートは、お年玉みたいなものだと思ってますので、甘やかさず、年一くらいにしておいてください。精進します。