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今日から私は、イレバニアファミリー

生まれて初めて入れ歯を作った。
いよいよ老いを感じる。

自慢げにいうことではないのは、重々承知している。
しかし、物書きたるもの、人に言えないこと、本気で隠したい事を書いてこそ一人前と、何かで読んだ。
それに、夫の非道な行いについては遠慮なくここで書いているのに、自分の恥ずかしい部分は隠すというのは、フェアではない。

人間は「虫歯になりやすいタイプ」と「歯周病になりやすいタイプ」に分かれるらしいのだが、結局、どちらのタイプも最後は歯を失うことになる。
よほどケアをしっかりしていれば別だが、片方だけが一生、自分の歯をキープできるというものではない。
特に私と同世代では、歯間ブラシをこまめに使う習慣を持つ人も、そんなにはいないだろう。

今これを読んでいる人も何十年後かには、きっと部分入れ歯生活になるのだ。
だから、堂々と言おうと思う。

「私は今日から、入れ歯人間の仲間入りをした。イレバニアファミリーである」

嵌めてみて分かったのだが、入れ歯は思ったより違和感が無い。
もっと、両側の歯が押されてキツかったり、異物感が常に気になるものかと思っていた。
これはおそらく、入れ歯を作ってくれた技師さんの腕が良いのだろう。
現在、初めての装着から約半日。
噛み合わせに関しては、全く違和感がない。

けれど歯科の先生はおっしゃる。
「食べてみると、必ずどこかが痛くなるので、細かく調整が必要なんです。義足なんかと一緒です。使いやすくフィットさせるには、時間をかけて合わないところを、削ったりしながら体に合わせていく必要があるんです」

そんなわけで、今後の食事はこのパートナーと必ず一緒に摂らねばならないことになった。
痛いのは嫌だが、早く馴染んでほしいので、ガンガン使おうと思う。
でも、願わくば、奇跡的に痛く無いままフィットして欲しい。

ある研究では、人類の本来の寿命は45歳前後なのだそうだ。
それを超えたら不具合が出るのは当たり前と肝に銘じ、日々のメンテナンスを怠らないようにしなくてはいけない。
歯だけの話ではなく、全身その気概で臨みたい。

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