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命を産み落とす牛と、産み落とされる子牛。そして命を絶たれる牛。

 今から3年ほど前のことです。

 ある牛がと殺場に送られてきました。そしてその牛はと殺される直前にお産をしました。冷たいコンクリートの上で、と殺されるのを待つ他の牛たちと狭い囲いの中でその牛はお産をしたのです。小さい命が産み落とされたのです。と同時に、妊娠してる牛をと殺場に送った畜産農家がいたという事です。牛もお産が近づくとお乳を与える準備ができるので外見から妊娠を確認することができるのになんでなんだろう。この出荷した畜産農家さんはこの牛の妊娠を認知して出荷したのかそうでないのか、私には分かりません。

 そして、そのと殺場で産み落とされた子牛をうちで引き取ることにしました。(少しでも多くの人が読んでいることを願って書きます)悲しいかな、親牛はその流れでと殺されました。人間によって、"その為"に出荷されたのだから当然と言っては当然なんですが、なんとも空しい気持ちと同時に、こんな非条理で生まれてきた小さな命は私が助けるんだという強い使命を感じました。

 生後すぐうちに来た子牛。「んーんー」鳴いてお乳を探していました。自分がどんな状況に置かれてるのかもまったく解ってなかったはず。そんな子牛に毎日毎日ミルクを作って、育てました。お腹を満たしてくれる母親だと、私のことを認識してるはずです。牛はどんどん成長して、生まれたときは腰くらいの子牛が、2年もするとほぼ同じ目線になり、体も大きくなりました。この牛は他の牛と違って、私がパドックに入ると近寄ってきては頭を擦り付けてきます。遠くにいても呼べばゆっくりのったり私の方に向かって歩いてきます。

そして今度はこの牛が、お産をする番です。


はて、この記事にはいくつの命が???

つづく