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2020年、ぼくはこの漫画を推しておく 5選(+1)

ゲーム以外にも漫画も好きですので、ここで個人的に今年の「推し」作品を取り上げてみます。
2020年を締めくくるにちょっと早すぎないかとか思われそうですが、もう少し時が進むと公式「このマンガがすごい!」とかそれに対する寸評が怒涛のように襲いかかってきて埋没しちゃうでしょ? 打算です打算。
ですので、ちょっとお先によろしくおねがいします。(現時点でまだ「連載中」の作品のみ対象としました。また、ある程度連載期間が長い作品を取り上げるに際し、2020年に展開されたストーリー部分を推しの対象としました)

そして、この度のようにひときわ「読んでほしい!」と決意を込めた記事は、長らくお付き合いのあるイラストレーターのダレムさんと打ち合わせの上アイキャッチイラストを描いていただいております。
今後もこのような姿勢でおりますので、可愛いアイキャッチが目に入ったら襟を正してるんだな!と画面の奥を想像してもらえればと思います。

1 図書館の大魔術師 (good!アフタヌーン)

かつてはライトノベルも読んでいた世代であったものの、年を経て疲弊をしていた結果ファンタジー世界を相手にしても目が滑っていき頭に入らなくなり、そのため当然のように昨今のトレンドである「なろう」世界なんてものはターゲットになりませんでした。
でも、ふと目が止まったこの漫画だけは格別の出会いだった。舞台設定はハイファンタジーであるだけに、初見でツカミきれないと見限られるものなんですが、圧倒的な筆致と「本」をテーマとした身近さをもってした展開で目を離させません。
タイトルの出し方からのモノローグ展開、世界観の総合力は、ファンタジー映画の脚本なんじゃないかと見まごうレベルであり、きめ細やかな漫画の書き込みは驚嘆の粋。映像作品としてもぜひ見てみたい……。
1巻2巻でツカミ、3巻で世界の幹をしっかりと広げたうえ、とんでもないモノローグで4巻をひく計算高さ。作者がやりたいことをやりきれば珠玉の作品になることが請け合いと思っています。
あとは時間との勝負。月刊誌という決して進行が早くない舞台の上、申し訳ないけど決して売れ行きの良い掲載誌ではありません。あまりにも評判が高い漫画なだけに何かあっても移籍は濃厚ですが、それでも、平準化されたクオリティでの連載をこれからも望みたいです。

2 ハコヅメ 〜交番女子の逆襲〜 (モーニング)

社会人になってからとにかく「職業モノ」漫画が突き刺さってくるようになってきたんですが、この1年で新たに「警察官モノ」であるこの漫画が突き刺さりました。
既刊13巻。存在自体は知っており、なんならたまにモーニングを立ち読みする程度の小一時間があるときには読む程度の自分の中での認知度はありました。しかし、改めて通しで読んでみると小気味よいギャグパートの「あるある」な笑いとガチトーンであるときのときの生々しさの高低差で耳キーンになり、手癖のついた表現をすると「銀魂みたいな振り幅」を警察官の組織内で密度高くやってくれて面白い。
月並みですが、92話でこの漫画の真髄に触れた気がします。公式が「神回」「驚愕」と陳腐に持ち上げてて穿った見方でいたのですが、読みすすめるととんでもないクオリティの一話でした。ギャグからガチからホラーめいたオチまでの密度を16ページで行う、とんでもないオムニバスと感嘆したものです。

3 左利きのエレン (少年ジャンプ+)

これも名前は知ってて、このタイミングで一気に手を出したんですが、突き刺さりますね……。繰り返しになりますが職業モノが突き刺さる私のニーズにガチッとはまった作品です。
個人的にはエレンを主軸とした天才グラフィティのパートより、光一を主軸とした広告代理店パートに深く共感を持ってハマっており、さすが元広告代理店社員であるなと思わせる説得力ある苦悩と展開がドラマチックに面白いです。
それ以上に、単純にクリエイターとしての表現力が突き抜けているんですよね。特にバンクシー編の入りである「つまりこのゲームは かくれんぼの鬼をしながら 鬼ごっこの鬼から逃げなきゃいけないって事よ」「そいつはちょっと 鬼が多いな」なんてどんな飯食ってたらそんな言葉回しの発想力培われるんだと読んでてニヤけてしまいましたもん。
KindleUnlimitedで読める原作版は仕事に対する熱度が高く描かれてて十分好きなんですが、やっぱりリブート版のエンタメ調理がうまいですね。総合力はやはりリブート版のほうが強いと感じました。

4 よふかしのうた (週刊少年サンデー)

「だがしかし」にもハマっていたので、そのクオリティには疑いようがなかったことから、どんな作品を作ってくれるのだろうとワクワクしていました。
「だがしかし」が駄菓子軸であったため制約が強かったことを考慮すれば自由に筆を振るえる世界観。ヴァンパイアと人間の「眷属」を枷としたラブコメであり、和やかでかつ女子が可愛い筆致です。
そのため、安心して見られる作品ですが、だからといってコメディ一辺倒に逃げることなく、展開を締めるときは締めてくることから、メリハリの付いた楽しさを感じさせてくれる作品です。一話完結のオムニバスから徐々に世界観とキャラクターを広げ、厭世観だけではないほろ苦いアオハルなストーリーに広がっております。
しかしコトヤマは「中学生の繊細な機微」の表現がとんでもなくうまい……!

(+1) アクタージュ (週刊少年ジャンプ)

前置きで連載中って括ったのも。タイトルで+1ってしたのも。そういうことなんですよ。
私は切ないくらい悲しいですよ。この作品が、創作の世界から霧散してしまうことを未だに受け入れられない。
このnoteを見てくださるような方なら説明不要な不祥事により、「アクタージュ」は連載終了となってしまいました。しかし作品は紛れもなく名作であり、連載中はあらゆるジャンプ連載作のなかでひときわ楽しみに毎週待ち続けていました。
アクト(演者)を舞台としたバトルは紛れもなく週刊少年ジャンプのド王道たる熱血でしたし、百城千世子は類稀なライバルでありヒロインであった。
明らかにその後の展開を見据えて描かれていた、作品内オールスターを揃えての黒山の映画作品の封切りを見てみたかった。
この世界の最後を見られなかったのは実に残念です。

5 マチネとソワレ(ゲッサン)

そして、見たかった作品としてのアクタージュを喪った幻肢痛を抱える中出会ったのがこの作品でした。
「演劇」を舞台とした作品であり、ある意味ではアクタージュにおける「ダブルキャスト編」で起きた物事にスポットをあてたものがこちらの作品では軸となっています。
登場人物全員が自分のポリシーを貫き通すがために発生する狂気の連鎖が見ていてたまらなくここちよく、破綻寸前の感情の綱渡りの末に出来上がるストーリーは読んでてハラハラドキドキとします。
「2.5次元舞台編」においては、ダブルキャストであることの意義についてかなり詰め寄った展開になっており、『ひとつの演劇を二人のキャストが演じる場合の解釈』にかかる回答について、作者の主張をバシッと定めてくれたなという感じでした。

(アイキャッチイラスト:yuki6mamaさん)


好みがとんでもわかりやすくて申し訳ない! こういうやつなんです!

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