初恋と初嘘、初恥の話。
転校して入った小学校一年生のクラスに、好きな子がいた
ショートカットで小柄なOさんという女の子だった。
ちょくちょく話をした記憶があるのだけれど、どこが好きになったのかはよく覚えていない。
死にたいくらい恥ずかしいことだけれど、Oさんと仲の良くしているクラスのある男子に嫉妬して憎くて、クラス写真のその男子の顔のところを画鋲でプスプス刺して穴だらけにしていた。
その集合写真は、その男子の顔のところだけ穴だらけだった。
その男子の存在に焦ったのか、Oさんの気をひこうとしたのか、私はOさんに嘘というか、作り話をしていた。
今振り返ると幼稚な発想なのだけれど、私は○○星(○には自分の名前)からきた○○星の王子なんだという話をしていた。
それでOさんが興味を持ってくれたかというと、そんなことはないんだけど、そんな作り話をして、気をひこう、話を聞いてもらおうとしていたんだと思う。
本当に恥ずかしい。
結局、Oさんについた嘘、作り話は、そんな話が通用するはずもなく、いつもOさんと一緒にいて僕の作り話を知っていたYさんという子から、
そんな星はない…
と当たり前のツッコミというか、指摘をされて、作り話は終わりを迎える。
その後、Oさんとも少しは話をしたような気もするけど、特に仲良くなることもなく、小学校3年のクラス替えでクラスが別になり、一緒になることはなかった。
中学は同じ中学になったけれど、ほとんど話をした記憶もない。
Oさんは嘘をついた私を軽蔑していたのか、どう思ったのか、今となってはわからない。
今も実家に住む私は、犬の散歩で時折今も残るOさんの実家の前を通ると、昔のそんな胸がチクっとするような、思い出すと消え入りたくなるような、そんな恥ずかしい思いを心の片隅に残したまま、長きにわたって住んでいるこの家とこの土地で今も暮らしている。
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