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「ゴジラ -1.0」の感想

Xでネタバレ感想つぶやくのは罪が重いのでこちらで。とにかく見に行って損はないです。本noteは一応有料にしましたが、ネタバレしても良い人用という趣旨なので、返金受付可能にしています。(11/18 そろそろ観た人も増えたと思うので無料にします)

劇場でご覧になった後にでも読んでいただき、コメント欄にでも感想いただけると嬉しいです。

シン・ゴジラとは否応なしに比較されると思うけれど、私はどちらも素晴らしい作品で、優劣をつけたいとは思わなかった。シン・ゴジラは、本当に現代にゴジラが出現したらどうなるか、という思考実験的な雰囲気を前面に押し出してきており、悲惨な場面も悲惨さがあまり感じられないような工夫がなされ、人の死も直接的に描くことをできるだけ避けていた。なお、初見時の感想は次の通り。

これに対して本作は、「情」に訴えるエモーショナルな仕掛けだらけで、そういうのはいいや、という人には向かないかもしれない。私のシン・ゴジラを初めて見たときの感想は「おー、そう来たか、面白かった!」というものであったのに対し、本作はかなり初めの方から感情移入して涙を流す場面がたくさんあった。一方で終わりの方はオチがやや読めてしまった部分もあったが、それはそれで、予定調和的ハッピーエンドを求める気持ちにはフィットしていた。

以下、ストーリーに沿っての感想。

大戸島は架空の島なんですね。初っ端から、特攻隊に出たものの機体の不調で基地に臨時着陸という不穏な展開。あんなボロボロの滑走路で離着陸なんて出来るんですかね。。。いきなりゴジラVer1が登場し、整備隊員を皆殺しに。控え目とはいえそれなりに凄惨なシーンも多く、ゴジラへの恐怖心をあおるには十分。ゴジラ襲撃の翌朝の死体の損傷が少なすぎるのはご愛敬。パンフレットによればこの時のゴジラは身長15メートルという設定だけど、破壊するゼロ戦との対比からしてももっとデカそう。復員船で生き残り整備兵の立花から渡された紙の束、整備兵たちの持っていた家族写真。。。えげつねえ。。。

東京に帰った敷島、家族は全滅、隣人からも軍人のふがいなさを詰られるが、当時こんな雰囲気ってあったのだろうか?ヒロインの典子(浜辺美波さま)とのご都合主義的ボーイミーツガールだが、連れ後の明子、うちの娘と同じような年ごろなので、ついつい感情移入してしまう。戦後混乱期の中小さな子供を死なせずに育てる苦労がしのばれる。最初は嫌味なババアだった安藤サクラが打って変わって肝っ玉母さんに。ここまでのことはないにしても、隣人が助け合いながらなんとか命をつなぐ場面は本当にあったんでしょうね。
生活のために機雷の除去作業に身を投じる敷島。もうこの時点で、結婚しているわけでもない典子と、血のつながりがあるわけでもない明子のために命を賭けているわけで、この時代に生き延びる困難さや愛情の深さに胸が熱くなる。木造の掃海艇、やっぱりそうだよね。特攻隊の生き残りの気迫、そりゃ軍隊経験のないお兄ちゃんには負けないわな。「学者」の落ちぶれた天才科学者っぽいいでたちは漫画的。掃海作業ではあまり危険な目には遭わないのはやや意外だったけど、ゴジラとの戦闘は迫力満点。シンガポールで終戦を迎えた重巡洋艦の高雄がゴジラ退治のために日本に来る熱い展開も、巨大化したゴジラは鎧袖一触。高雄は国民に人気のある軍艦だったらしく、掃海艇乗員たちも大興奮するがその後の落胆も大きい。

ゴジラの東京上陸後は、とにかく破壊の限りを尽くす。攻撃されない限りは歩いているだけのシン・ゴジラとはずいぶん違う。浜辺美波が電車から振り落とされそうになるシーンは、先日公開された「ミッション・インポッシブル」の最新作でもほぼ同じ描写があったけど偶然ですかねえ。しかし、絶体絶命のピンチを助かったと思った直後にヒロインまさかの退場。シン・仮面ライダーでも浜辺美波演じる緑川ルリ子の消滅はショックだったが。。。明子ちゃん、また孤児になっちゃうの?? 死者推定3万人、途方もない数字ともいえるけど、東京大空襲で10万人が死んだときからまだ数年なので、当時の人たちの立場だとどうこの数字は受け止められたのだろうか。

政府も米軍も全くあてにならない最悪の状況で、奇跡の駆逐艦雪風の元艦長が、雪風など駆逐艦4隻で、とてもうまくいくとは思えない作戦の提案。ゴジラを素早く海に沈め、それでもダメなら素早く引き上げて水圧差で倒そうって、正直意味わかりませんでした。参加する元海軍軍人たち、自分たちが死んだ場合の遺族の生活の保障くらいは国にお願いしたいところだけど、たぶんそんな配慮もないでしょうね。参加するのは身内を失って捨て鉢になっている人ばかりなんじゃないかと思ったり。
並行して敷島が大戸島因縁の整備兵の橘を頼って幻の戦闘機震電を復活させる。誰が見ても特攻覚悟ですよね。ここでは誰でも、ゴジラに最後突っ込んで、脱出するってオチだろうなと分かっちゃうと思うけど、それでいいんでしょう。

対ゴジラの海神作戦、予想外に順調にゴジラを沈め、まだ生きているということで浮上させるところまで行って、浮袋を破られて失敗しそうに。そこでボロ船たちが助けに来て何とか引き上げるのだけど、あんなボロ船、何隻来ても無理だろうよというのと、折角大人たちが連れて行かなかった「小僧」が来ちゃうのはちょっとどうなのかと。若者に未来を残すためにおっさんが命かけているのにさ。あと、雪風の艦側に書かれている艦名が「YUKAZE」だったシーンがあったような。
震電で飛び立ってから、周りの景色をじっと眺める敷島のシーン、「永遠のゼロ」に出てきた「特攻することになってから、周りの全ての景色がとてつもなく美しくかけがえのないものに見えるようになった」という特攻兵の心情を表しているのかなと。最後はご都合主義だけど、特攻して戦死で終わらせるわけにいかないですもんね。放射能影響や海中で復活しつつあるゴジラ、浜辺美波のあざ(?)など未解決問題は色々あるけど、とにもかくにもハッピーエンドで終了で、なんだかホッとしました。


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