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グローバリズムの真実~フェミニズムという宗教~

宗教は、慰めの源泉であるかぎり、真の信仰への障碍となる。この意味で無神論は一種の浄化である。(重力と恩寵/シモーヌ・ヴェイユ)

政府主導の男女共同参画政策により、虐待や中絶、離婚、パワハラ、若者の自殺などが深刻な社会問題となっている昨今、欧米のフェミニズムが日本の文化といかに相容れないかが証明されつつあります。

もともとフェミニズムは、女性蔑視の思想が含まれるキリスト教などの一神教に対抗して、女性の地位向上を目指す思想として欧米で台頭しました。日本においては神道の最高神に代表されるように、歴史的に女性の地位は高く、中世では京都で銀行業を営む女性実業家がたくさん生まれ、その代表格が日野富子だといわれています。

日本は地震や津波、台風などの災害が多いことから、社会全体に自然崇拝の思想があり、自然の一部である女性も男性より格上の存在だったと考えられますが、これに対し欧米では、自然は男性が支配するものであり、自然の一部である女性も男性より格下の存在だったと考えられます。中国の纏足にみられるような、女児の身体に侵襲的な制約を加える慣習なども日本には存在しませんでした。一方で、アフリカ諸国にみられる女性器切除(FGM)の慣習は未だに根絶できてきません。

以前フランスの友人に『女性が出産後も仕事を続けたら、平等を超えて男性より優位な立場になってしまうのでは?』と尋ねたところ『ヨーロッパでは子どもは男性が女性の子宮を使って産むものだから、女性自身に子どもを生み出す力があるとはみなされないし、財布の紐を握る習慣もないから、働かないと金銭的な自由がなくなる』と言われ、驚いたことがあります。

また、ロシアの友人に『もともと共産主義で共働きが一般的なのに、どうして晩婚化したり少子化になったりしないのか、女性もいつ暴力をふるいだすかわからないような男性と結婚するより、未婚のまま暮らす方が幸せなのでは?』と尋ねたときも『夫婦でペアになって人生を歩み、子どもを育てることが生まれてくる意味だと考えられているから』と言われ、納得したことがあります。

国際結婚で海外に移り住んだ日本人女性が、離婚時に配偶者の同意なく子どもを日本に連れ帰ってしまうことが続き、10年以上前から外交問題として欧米から批判されていますが、子どもは母親のものだと認識する日本人の感覚で捉えると、それが犯罪として扱われることに抵抗を感じるのではないでしょうか。しかし、欧米では『単独親権を主張しておきながら配偶者に養育費を請求するとはあまりにも非道徳的』というのが一般的な見解です。

日本のフェミニストは、いわばねずみ溝の最初の犠牲者のような立場にいます。表向きは被害者の代表を装い、内実は自分たちに追従する女性(本当の被害者)を増やすことで利益を得ています。男女共同参画政策により、自己実現のために働く既婚女性が増え、身内の介護のために未婚のまま働き続ける女性、死別でシングルマザーになった女性などが嫌がらせを受けても、男性上司は触らぬ神に祟りなしで黙認するといった光景を目にするようになりました。

映画『アレクサンドリア』では、古代エジプトを舞台に、ギリシャ系の女性数学者ヒュパティア*の半生を織り交ぜながら、キリスト教徒によるアレクサンドリア図書館の破壊、大衆扇動、大量殺戮の史実が描かれています。このような特定のイデオロギーによる洗脳は、無神論者の多い日本社会でも決して無縁なものではなく、戦後に生まれた私たちの思想も、国際競争に取り込まれ、巧妙に操作されているのでしょう。

*主に円錐曲線の研究をしていたことで知られています。映画の中に出てくる、アリスタルコスの太陽中心説に対する考察や、惑星の楕円軌道、慣性の法則に関する着想のシーンは脚色です。

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