大阪北新地クリニック放火事件のテレビ報道に思うこと

大阪市北区の北新地界隈にある心療内科クリニックの入る雑居ビル放火事件の報道が連日テレビで流れています。

くだんのクリニック、私も昨年夏2度受診しました。パニック発作を頻繁に起こしていて、何としても完治させたいと関西圏内のクリニックや専門医を探しては訪れるという行動を繰り返している時期でした。

そのクリニックにも期待して行ったのですが、私の求める専門的な知識や技術は持ち合わせておらず、2度目の受診でクリニックを替えました。2度目の受診はカウンセラーによるカウンセリングで、そのカウンセラーは外部の方で常勤ではなく週に何度かシフトが入っているようでした。私が求める「認知行動療法」はそのカウンセラーのみならずクリニックにも専門家はいないとのことで「ここに問い合わせをしてみては」とスマホで別のクリニックの情報を教えてもらいました。その情報が功を奏し、結果私の症状が快方に向かったのでそのカウンセラーさんに感謝はするものの、クリニックとしての評価はできるほどやり取りをしていません。

そのクリニックが患者に寄り添った治療が評判であることをテレビ報道で初めて知りました。上記した理由でクリニックの対応が良かったかどうかは正直私には分かりませんし、私の主観的な印象(=記憶)は控えます。ただクリニックの待合室やビルの様子をお伝えしたうえで、タイトルにある本題について見解を述べます。

エレベーターはかなり狭く、待合室はかなり過密で、初めて訪れた瞬間にここで災害に遭ったら逃れらないので「ここには通いたくない」と直感的に思いました。2回目のカウンセリングで、専門クリニックの情報をもらった時、「もうこのビルを訪れなくていい」と胸を撫で下ろしたことをよく覚えています。そんなこともあって、北新地のビル火災現場が心療内科クリニックと聞いた時、そのクリニックかも知れないと瞬間的に思いました。

連日テレビでこの事件の報道がされていますが、どの局もどの番組も「患者に寄り添った善良なクリニックが、極悪非道な患者の逆恨みを買った末の悲劇」という非常に分かりやすい構図で劇的に伝えるだけで、クリニックのリスクマネジメントの欠如を指摘する局、番組のないことにもどかしさを感じています。

この事件でのクリニック関係者以外の被害者の人たちは、クリニックに対して「なぜ私たちは、クリニックと患者のもめ事のとばっちりを受けないといけないのか?」「事件や事故を想定できなかったのか? 対策はできなかったのか?」と思っているかも知れません。もし昨年私がこのクリニックを受診したタイミングでこの放火事件が起こったとしたら、間違いなくクリニックに対してそんな気持ちを抱きます。

放火行為を容疑者に留まらせることはクリニックにできなかったのか? 放火の被害をもっと小規模に抑えることはできなかったのか? その観点で報道してもらわないと、私たち国民はこの事件から何も学べませんし、亡くなった方々が浮かばれません。



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