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ChatGPTなどAIによる記事制作は止められるか

記事の末尾の方に、この技術に対して規制は必要ないかとの疑問が呈されている。個人的には、規制は無理だと思う。

もちろん、個々のケースで禁止することは可能だ。例えば、特定のメディア内で記者に対して、記事制作にAIを使うことを禁止することはできよう。
例えば、大手新聞社や大手出版社が社員に対して禁止することは可能だ。しかし、外部の寄稿者や外注のプロダクションに対して禁止するのは難しくないか。

また、個人がSNSで発信する際にAIを使うことを止めることはできない。表現の自由などの権利の侵害になる恐れがあるからだ。禁止する法的根拠は現在ないし、将来作ることも難しい。

個人がアフィリエイトサイトに使うのも、特定のサービス提供者が規約に載せることはできても、全体として禁止は無理筋だろう。なぜなら、アフィリエイト運営側にとって、どんな文章生成ツールを使うかは問題にならないからだ。

別のAIを使って、AIが作った文章かどうかを判別させることも可能だ。すでにOpenAIが作っているように。

さすがに、まるまるコピペなら検知できる仕組みができてもおかしくない。
しかし、精度がどこまで高まるか。誤検出のリスクをどう評価するか。

画像のような「透かし」を入れられればいいが、テキストには難しい。もし「透かし」を入れても、画像とは異なり、テキストは簡単に編集できてしまうので、「透かし」が編集されてしまうこともある。

今のコピペチェッカーのように、「コピペの確率は◯◯%です」くらいが現状では関の山ではないか。その結果に基づいてシャドウバンみたいなことは簡単だが、それこそ問題だ。

また、AIかどうかのチェックの精度が高くなれば、すり抜ける仕組みへのニーズが高まり、性能の高まったAIによってチェックをパスできるようになろう。

そもそれ「AIによる記事制作を禁止したい」という話が出てくるのは、(記者が自分の仕事を守りたいと思う気持ちを別にすれば)人間の書く記事の方がAIの作る記事より優れている、という関係が前提になっている

もしAIの方が優れていて、受け取り側に害がなければ、禁止という話は出てこないのではないか

現在は、間違いを含むという害がはっきりあるので、常用は難しいが、人間程度の頻度の間違いしかなければ、大半の人にとって使わない理由がない。

その時点に至ってもAIを記事制作から排除するのであれば、新時代のラッダイト運動だというしかない。

将棋界でAIを使わない棋譜研究は今や考えられないように、記事制作においても共存の方向へ向かうのではないか。ツールが未完成なので、どのような形での共存になるかは不明だが。

蛇足だが、私自身は「このようになってほしい」と思っているのではなく、記事制作にAIが参加する世界が近い将来に訪れる確率が高いので、関係者(特に安価な記事を作成するWebライター)は備えておくべきと考えている。


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