KIRIN LAGER ビール〜CM撮影部からスタートした私のキャリア2
前回の続きでございます。
24時間働けますかの時代
自主的に1年間留年し、その間映像の学校で勉強をし、さらに助監督など多くの現場勉強をして、私が進路として選んだのは映画やCMの撮影の道でした。空前のバブル景気真っ只中の広告業界、クリエイティブの質が高く一流と言われる人々がその界隈にも多く集っており、もまれにもまれた日々を過ごすことになります。
24時間働けますか(リゲインCM)の時代です。真夜中に仕事が終わり、次の現場は朝6時入り、そんな毎日でございました。
濃密な日々でしたので、語りだすとキリがないのですが、次の道へと進むきっかけとなった話を少し書いてみたいと思います。
入社1〜2年経ってからは、普段師事している社内カメラマン以外の現場にも駆り出されることが多くなりました。広告業界で活躍する写真家、映画撮影の凄腕カメラマン、ちょこちょことそんな現場が増えてまります。
その後の人生に影響を
スチール写真の考え方、映画の考え方、それぞれの凄みを体感していくわけですから、20歳代半ばの私にはまさに血湧き肉躍る体験以外の何者でもありません。
中でも非常に影響を受け、その後の指針にもなった出会いが、映画のカメラマン篠田昇さん(別途、記事を書くつもりです)、写真家の鋤田正義さん、その鋤田さんと多くの現場が一緒だった監督の市川準さんでした。
言わずと知れた大先生ばかりですが、リンクを貼っておきます。ご参照ください。
市川準監督の佇まい、買ったばかりのM型ライカに古いレンズをつけておられたこと、照明チェンジの待ち時間にスタジオの外で午後の日差しを浴びながら文庫本を読まれていたこと、そんなことを思い出します。
フィルムを回しに回して、その中のひかる一瞬をピックアップする。1000ft巻フィルムを回し切るまでカットがかからない(約10分)。使用するのは数秒であっても、でした。
写真家の鋤田正義さんは短い間でしたがスチールの助手まで経験させていただき、暗室(ボウイの写真も!)もご一緒したり、生の経験談の数々と的確な助言を頂戴したりしました。
「森谷くん、助手のうちは徹底して技術を磨くんだ。そして1本立ちしたら技術を捨てるんだ」この金言は、本当の意味がしっかり腑に落ちて理解できるまでに10年の歳月を要しました。
キリンラガービールCM
監督市川さん、撮影鋤田さんの「キリンラガービールCM」リンクを貼ります。今見ても良いですね。私は、これを機に、完全にスチール写真の方へ向かっていきます。まさに転機になった作品と言えましょう。直接の理由はここにはございませんが、非常に大きな「内面変化を促す現場」であったことだけは間違いなさそうです。
ユーミン、よりですね!!主演の若き堤さん、里奈さんもグレート!!
次回はその頃出会い多大な影響を受けた映画カメラマン篠田昇さんの話を書いてみたいと思います。またぜひお読みいただければ幸いです!!