森谷修_photographer

写真家の森谷修です。大好きなモノクロ写真について、デジタル銀塩含めて深く語ります。作品制作のノウハウ、基礎からより突っ込んだマニアックな技術情報、写真家視点のエッセイなど。WS主催18年、現在ライカアカデミー講師。著作「デジタルで極める完全なるモノクローム」「ライカの魔法」など

森谷修_photographer

写真家の森谷修です。大好きなモノクロ写真について、デジタル銀塩含めて深く語ります。作品制作のノウハウ、基礎からより突っ込んだマニアックな技術情報、写真家視点のエッセイなど。WS主催18年、現在ライカアカデミー講師。著作「デジタルで極める完全なるモノクローム」「ライカの魔法」など

最近の記事

写真ワークショップはじめて18年 (1)

著書と最初のワークショップ2006年に写真作品とエッセイで綴る書籍「銘機浪漫」を上梓し、これまで完全なプロの世界だけで生きてきた私も、読者との交流を通してそうではない世界に触れることなりました。 ちょうどカメラや写真のユーザー意識が大きく変化するタイミングだったのかもしれません。頑なな保守層が多く占める中にあっても、写真の表現や古い機材をあえて用いる趣味層などが爆発的に増えていったと認識しています。 写真のワークショップは、そうした層のニーズに応えることで始まりました。私

    • 敵わないと知りつつ「あえて」 ヴィンテージプリント考 3

      あえて「ヴィンテージプリント考」の3回目。 今回だけ表題が少し違います。 後年にまた機会が訪れ、ここぞとばかりにある挑戦を企てます。 全カット焼き直し。オールモダンプリント。 他者からの意見を受けながら、しかし最終的には自分がどう感じるかなのだと思いまして。 ヴィンテージには敵わないということを理解しながらも、そんな達観できねぇよともがきます。過去の自分を超えたいという切なる願いもありますし、懲りずに挑戦した記録を記します。 1と2をまだお読みいただいていない方は、先に下

      • 敵わないと知る ヴィンテージプリント考 2

        2回目の展示は2013年でした。プリント技術も向上し、道具類もこだわって、自分的には最高のクオリティーへ辿り着いた時期。 自信満々にプリントしたのですが。。。(しつこいようですが実際今見ても良いです!!それだけに悔しい、という話になります) 前回の続きです。 写真家・渡部さとるさんの証言旧知の写真家で、現在では写真系youtuberとしても名をとどかせている渡部さとるさんが、その時の様子をブログに書いてくださっています。 少し引用させていただきます。 体験談として「そう

        • 敵わないと知る 写真のヴィンテージプリント考 1

          ギャラリーで美術品として写真作品を販売する場合、最も価値が高いと認識されているものは「ヴィンテージプリント」です。 定義としては、撮影されてからまもなく撮影者本人かその指示を受けて製作された写真プリントを指します。熱が冷めないうちに制作されたから?爆発的なパッションが反映されている?写真家としての私からすると、疑問符がつきますが、どうやらある意味で正しいと思うようになりました。 今回は、そのヴィンテージプリントにまつわる体験をお話いたしましょう。 「バリの祈り」私の作品シ

          写真展「この道の行く先に」 一葉の写真から(その3)

          ハマったピースパズルのピースがバチっとハマったような。たった一枚の写真から、展示の企画は大きく進みました。 モノクロで評価をいただいている自分ですが、ギャラリストの慧眼によりカラー作品も織り込んで、2023年12月期、約1ヶ月の展示が無事に開催されました。   当初、タイトルは私が考えていた「多摩川左岸、海から10km」から「この道の行く先に」へ。弓を強くひき前へ勢いよく解き放つように、現在から過去を見て、未来へとそのベクトルを向けたいと願う私の思いをギャラリストさんが組ん

          写真展「この道の行く先に」 一葉の写真から(その3)

          一葉の写真から (その2)

          前の投稿からの続きになります。 一葉の写真が次の道へと誘ってくれます様子をお話ししましょう。 (前の記事をお読みになっていない方は、以下、ご参照ください!) 2023年秋2023年秋、私は写真展の準備をしていました。 写真展とは、冬に始まる「ギャラリー冬青」さんでの個展です。 冬青さんは我が国のメジャーなコマーシャル・ギャラリーの一つであり 私にとってもご指名は名誉あること、ギャラリストさんと深く話し合い良きものにしようと意気込んでおりました。   ギャラリー冬青さんは、銀

          一葉の写真から (その2)

          一葉の写真から (その1)

          暑い暑い夏2023年の夏は、leicaの古いレンズとともに過ごしました。 毎日とてつもなく暑くへばりそうになりながらも、カメラが1台入るだけのカバンを肩から下げ東へ西へ。 ライカ1台にレンズ1本、その日の気分でレンズを選び似合いそうな場所へと出かける日々です。 (たくさんの作品を撮影し、その一部はホビージャパン社から刊行されたムック本「Cameraholics extra issue Leica Lens Masterpiece」に掲載されています。 表紙はじめ、かなりの

          一葉の写真から (その1)

          プラチナプリント〜作品シリーズ「み熊野の」その4〜

          プラチナプリント制作の話、続きです。 デジタルネガの福音 1800年代後半の古い技法とはいえ、近年ではさまざまな最新ノウハウが導入されています。 その一つが、デジタルネガ制作。プラチナ感光材はとても感度が低く、また紫外線領域の光にしか反応できないため、紙に直接大きなネガを置いて露光する「密着」(コンタクトプリントやべた焼きとも言います)が必須です。 フィルム関係の感材がかなり減っている現状、同時にデジタル系の進化によって、データからOHP用のインクジェット用紙へ出力する「

          プラチナプリント〜作品シリーズ「み熊野の」その4〜

          プラチナプリント〜作品シリーズ「み熊野の」その3

          一千年先の未来へ 作品シリーズ「み熊野の」より、プラチナプリント制作に関する記事を書いてまります。 プラチナプリントは古い写真プリントの手法(古典技法)の一つで、感光材料に現在のような銀ではなく「プラチナ」を利用したもの。保存性が極めて高く、紙が朽ちなければ半永久的という特長を有します。 わかりやすい解説のページをリンクします。 プラチナプリントの実際 こちらはライカプロフェッショナルストア東京で開催されました講座の取材記事になります。この分野の第一人者である久保元幸

          プラチナプリント〜作品シリーズ「み熊野の」その3

          作品シリーズ「み熊野の」(その2)

          前回記事からの続きです。 https://note.com/moriya_camera/n/nac0e75df8e75 古代の人の感性に惹かれ 大学では古典文学を専攻し、卒業後映像の道に進むも古代の歴史や神話、民俗学を愛し研究していました。深く知れば知るほどに、さらなる魅力が現れる。民俗学は本当に面白いです。 私の興味は、現代人の感性では見えぬものへ向かいます。古い時代の人々の心のありように強く惹かれ、今に残る風景にその痕跡を見つけ、さらに思考を深めます。 その性質は

          作品シリーズ「み熊野の」(その2)

          作品シリーズ「み熊野の」について(その1

          写真家の森谷修です。 今回は私の作品シリーズ「み熊野の」についてお話ししてまります。 偶然が偶然を呼び、点と点が結びついた撮影体験 2015年写真撮影係として友人に同行した熊野、まさかこれほどまで深入りするとは思いもよらず。。。ただ、古(いにしえ)より聖なる地・大斎原(おおゆのはら)に足を踏み入れた瞬間に、込み上げてくる言いようのない感情に動かされて。。。その後は、偶然が偶然を呼び、これまで別々であった点と点が結びつく不思議な体験へとつながっていきました。 まずは大まか

          作品シリーズ「み熊野の」について(その1

          はじめてのnote / 写真家・森谷修

          写真家の森谷修です。noteページ開設にあたり自己紹介をさせていただきます。 プロフィール 森谷修(モリヤオサム) 1965年 東京都生まれ 株式会社東北新社CM撮影部を経て独立。 フリーランスのフォトグラファーとなる。 CM(映画含む)撮影部時代から培った照明ライティング技術による スタジオ撮影が評価されて、タレント撮影を中心に商品広告など幅広い分野で活動している。 2005年写真作家としての活動をスタート。 モノクローム表現に強いこだわりを持ち暗室作業は、もちろんプラチ

          はじめてのnote / 写真家・森谷修