桜の季節は過ぎたけど・・・

今年もたくさんの桜を見ました
いちばん好きなのは、山の中で咲いている桜

この季節限定で、山の中から、「私がここにいるよ〜」と
教えてくれるから

志賀直哉が「ナイルの水の一滴」と題する短編に綴ったこの言葉

「人間が出来て、何千万になるか知らないが、その間に数えきれない人間が生まれ、生き、死んで行った。私もその一人として生まれ、今生きているのだが、例えて云えば悠々流れるナイルの水の一滴のようなもので、その一滴は後にも前にもこの私だけで、何万年遡っても私はいず、何万年経っても再び生まれては来ないのだ。しかも尚その私は依然として大河の水の一滴にすぎない。それで差支えないのだ」


この言葉を恩師から受け継ぎました。


噛み締めるほどに、オンリーワンの自分と、それはそうとして、大河の中の一滴にすぎないことをよしとする潔さに感激します。

山に咲いている桜を見ると、不思議と、この言葉を一緒に思い出し、一本一本の桜の木が愛おしい気持ちになるのです。

点々と見えていた桜たちは、季節が過ぎると、たくさんある山の木々たちと同じように緑色の葉っぱをつけて、山の一部になって、どこにいたのか見分けがつかないようになっていくのです。

大河の一滴と、きっと同じなんですね〜。

それではまた!