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2023夏 ダイジェスト①

1 岡山県の旅

1-0 序章

 旅のスタートはバスタ新宿。ここは4年前、大学院生の頃にゼミ旅行で香川県に行った際、利用したことがあるくらいで、普段、筆者は東京駅から乗車することが多い(まぁ、そもそも新宿までが遠いのもあるのだが)。

 乗車したのは下津井電鉄バスはじめ4社合同運行する夜行バス「ルミナス・マスカット号」である(写真1)。この日は2号車(臨時便)が出るぐらいだから、人気のある路線といえよう。

写真1 バスタ新宿より乗車した夜行バス
下津井電鉄バス「ルミナス・マスカット号」

 津山駅、岡山駅を経由して、11時間くらい揺られて、終点の倉敷駅前に到着。岡山自体も十何年ぶりであり倉敷は、実は未到の地であった。

1-1 倉敷の旅

 午前中は鉄道撮影メインで、倉敷から新倉敷駅に移動、通過する山陽新幹線を中心に、お目当てのハローキティ新幹線も撮影することが出来た。いい収穫だ(写真2)。何より新幹線がピンク色というのも面白いところ。だけど、通過する新幹線はさすがに早すぎてブレてしまうのは技量の問題だから、そこは今後の課題とでもしようかなと思う(写真3)。

写真2 ハローキティ新幹線(500系) 入線
写真3 N700A系 のぞみ号通過

 再び倉敷駅に移動する。駅構内で週末限定の観光列車(ラ・マル・ド・ボァ)や来年度末まで運行の国鉄色やくもにも遭遇し撮影も出来た。先ほどのハローキティ新幹線に次いでのいい収穫物となった(写真5、6)。そして午前中の最後は水島臨海鉄道線にも乗車し、高架を走る感覚、駅間が近いという都市部のローカル線を味わうことが出来た(写真7)。

写真4 特急やくも(国鉄色カラーリング編成)
写真5 観光列車「ラ・マル・ド・ボァ」
写真6 水島駅駅看板と水島臨海鉄道線の車両

 午後は観光を中心に倉敷駅周辺を散策。と言いながら、倉敷の美観地区をメインにしながら建築巡りもやったりと。観光にあたっては「tabiwa by wester(せとうちエリア)」アプリから発売の「岡山・倉敷tabiwaぐるりんパス」(¥3,900)を事前に購入して活用することで、例えば大原美術館の入場料が通常、一般は¥2,000するのがアプリを掲示することにより、無料で入場出来るなど、金銭的負担が少なくなるのはかなり大きいところ。詳しくはURLを参照にしてほしい。

 倉敷の美観地区をまわりつつ(写真7〜9)、周辺にある建築も回ったりと。特に印象深かったのは丹下健三が設計した倉敷市立美術館(写真10)。元々は市役所として建てられたモノが人口増加を背景に、新庁舎に移転することとなり、市役所としての役割は短命に終わったという。元々が市役所と建てられた以上、内部空間も大きくとられており、それが美術館に転用しても問題なかったと言えよう。経緯も去ることながら建築としては見応えあるものだった。反対に大学の授業でも触れていた「倉敷アイビースクエア」は寄ってはみたけど(写真9)、ホテル仕様だったし、加えてなんかイベントも開かれるだろうから、なんか観光名所でもないなーと感じた。行って損はしていないものの、つまらぬものであった。

写真7 大原美術館
写真8 倉敷美観地区の街並み
写真9 倉敷アイビースクエア
写真10 倉敷市立美術館

 建築巡りの最後は国の重要文化財に指定の「大橋家住宅」を探訪(写真11)。ここは行程上、当初寄る予定には無かったけど、時間も余っているから「ついでに」という形で。外国人のツアー客だろうか?訪れていてインバウンドの効果が地方に波及していることを改めて実感した。

写真11 大橋家住宅

ちょっと早いけどホテルにチェックインして初日はこれにて終了。

1-2 児島の旅

 一般に倉敷駅から児島駅まで岡山経由で鉄路でも行けるが、今回は岡山を経由しない路線バス、それも前述の「岡山・倉敷tabiwaぐるりんパス」を掲示することで無料で乗車することに(写真12)。時間はそれなりにかかりはするものの、ショートカット目的やゆっくり移動したい人におすすめかもしれない。

写真12 児島駅まで移動手段として使用した路線バス

 児島駅からはさらにバスを乗り継ぎ、降りたのは鷲羽山第二展望台(バス停)。ここから見る瀬戸大橋や瀬戸内海の景色は一度見ておきたい絶景のモノだった。この時、現地は快晴だったため景色がより輝いているいように見えた(写真13〜15)。

写真13 鷲羽山第二展望台より①
写真14 鷲羽山第二展望台より②
写真15 鷲羽山第一展望台より

 本当はその先の「東屋展望台」まで行きたかったが、1時間に1本のバスに確実に間に合わせるために、行くことを断念。実はここからの景色もまた違ったものだから、またどこかでリベンジできればと思う。再びバスに乗って児島駅に戻り、次の電車まで少し時間はあったので、軽く鉄道撮影することに。電車に乗車し、岡山駅の手前の大元駅でも撮影して、次の目的地の岡山駅へ向かうのであった。

この記録を納めてデジカメが原因不明のトラブルで記録が出来ていないことが発覚。今回の記事を執筆するにあたってはスマホ写真はもちろん、先行でデジカメ写真をスマホ転送していたため、何とか乗り切ったものの、初日分の記録と2日目の児島駅、大元駅での撮影記録が全て飛んだ。結構なショックだったが、引きずっても仕方がないので、近々リベンジはしたいもの。

1-3 岡山市内中心部の旅

 岡山駅周辺も倉敷同様に新旧の建築物があり、見応えがあるものだった。まずは路面電車に揺られ城下電停で下車する。「城」と付くので、ここは岡山城や岡山後楽園の最寄り駅でもある。後ほど訪問するものとして、まずは建築巡りを行うことに。「岡山県立美術館」(写真16)が並ぶ城下筋は興味深い建築物が並んでおり、また、(写真17)は「W’出石ギャラリー A&A ジョナサン・ハセガワ」は1棟貸しの宿、ギャラリーやカフェが入っており、建物自体も細長く、内部空間の構成がどうも気になるところだ。

写真16 岡山県立美術館
写真17 W’出石ギャラリー A&A ジョナサン・
ハセガワ

 建築巡りを経て、岡山後楽園へと向かう。じっくり散策しつつ、青空が映えていたためいい景色を撮影することが出来た(写真18)。午前中の鷲羽山展望台もそうだが、この日は天候にも恵まれ「晴れの国岡山」というフレーズはこういうことだったのかと思った。
 そして、その足で岡山城に向かう。岡山城の前を和傘が展示していたのは印象的であった(写真19)。ここは去年まで「令和の大改修」を行ってことでも知られ、外観はもちろんのことだが今回の大改修では地元出身の歴史学者が監修の元で展示内容も充実しており、これは実際に見物した中で本当だったのは事実のこと。

写真18 岡山後楽園
写真19 岡山城(和傘と共に)
写真20 岡山城天守閣からの景色

 岡山城を後にして、次は林原美術館へと向かう(写真21)。この建物は建築家・前川國男によって設計したもので、外壁の煉瓦造りをはじめ(写真22)、打ちっ放しの意匠が特徴的且つ工業化製品(プレキャストコンクリート、スチール製サッシなど)を使用しており(写真23)、岡山城周辺という立地から古きを感じながら、その当時の試みに対する挑戦というのがみて取れるといえよう。
 さすがに展示物の撮影は禁じられてはいるものの、展示物も興味深いものだった。

写真21 林原美術館全景
写真22 外壁の煉瓦造りと林原一郎氏の銅像
写真23 工業化製品の例
プレキャストコンクリート製のプランター

 林原美術館を後にして、再び周辺を散策。外壁の煉瓦風タイル張りが特徴的の岡山県立図書館(写真24)、また路面電車の通り(城下筋)にあり、古代ギリシャ様式を彷彿とさせるような作りが特徴的なルネスホール(写真25)は印象的だった。初めて岡山を訪れた時もこの写真を撮影していた覚えがあるもの、今はそのデータもない。だから改めて見れたことは嬉しいし、訪問の意義もある。ちなみにその建物は、元々は日銀支店の建物だが、ホールに改装され、予約制だが一般利用も可能とのことだ。

写真24 岡山県立図書館
写真25 ルネスホール(旧日本銀行岡山支店)

 さて、路面電車に乗車して岡山駅に再び戻って散策。駅前もまた興味深い建築物があり、それが岡山高島屋である(写真26)。「なんだ百貨店じゃん」と思うかもしれないが、これも有名建築家の一人である村野藤吾氏の設計によるもの。彼はこれ以外にも京都、日本橋の高島屋などの百貨店を手掛けていることでも知られており(調べて初めて知った)、共通の意匠だろうなと見てとれる。

写真26 岡山高島屋

 駅構内を散策し、18時台の岡山駅西口発の米子、松江経由出雲市駅行の高速バス「ももたろうエクスプレス」号に乗車し、次の目的地の島根県の松江市に向かうのであった。

1-4 まとめ

 今回は大学生以来の岡山訪問であったが、観光より建築巡り(美術館鑑賞)の比率が大きかった気がする。そりゃ建築系の大学を卒業している以上は自然にそうなってしまうのはしょうがない。
 実はこの後の島根県の旅も、前半の松江散策において岡山同様に建築巡りが主となっているので見ていただけると嬉しい。
 ただデジカメに記録していた写真が一部消えたのは、本当にショックであり、この旅のエピソードとして記憶に残るかもしれない。

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