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2021/09/16 即興詩「夢の持ち方」

「夢」という言葉に
あまり期待しないほうがいい

夢はあるか
夢があれば乗り越えられる
夢があって羨ましいね
夢を持ち続けよう

いずれ死ぬことを
いつしか人は学び
終りがあることを知りながら
目の前のことに不平を言い
夢を持てといわれて初めて
取って付けたような夢を描き
自分のほんとうの欲求を直視せぬまま
夢に流されて生きる

夢という言葉で飾ってぼやかしているが
夢をきちんと追う人は
生きる現実そのものが彼らの言う「夢」であり
「夢のまた夢」というような
人参をぶら下げるような使い方をされるために
「夢」という言葉があるわけではない


過去があって
未来を期待して
手や足があって
なにかに触れる権利があって
温かさに涙して
そうやって動く細やかな心の動きを
私達は感じられて
そんな奇跡を感じる「現実」を
捨てるだけの価値が「夢」にあるのか

一体何が不満なんだろう
与えられるものは
本当は十分
与えられているはずだ

己の現実を直視することは
僕らが持ちうる数少ない「品性」であり
夢に生きるということは
きっと 心を震わせながら
それを全うすることなのでしょう

———

「いいねえ、夢があって」と言われて、なんとなく腹が立たない人はいるのでしょうか。

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