今週の怪談プレイリスト(10月20日号)
最近見聞きしたなかでおもしろかったものをご紹介します。なるべくアップロードが新しいものを選んでいます。便宜上数字を割り振っていますが、ランキングではありません。
1. 三木大雲「里帰り」
京都・蓮久寺の現役住職である三木氏。「怪談説法」と称し、怪談を通じて仏教の教えを世に広めている。今作で彼は、人間社会の陽の面をにじみ出る人柄で表現したのち、劇世界を一変させる一言をさりげなくはさむ。ぜひその緩急に翻弄されてほしい。
2. 上里洋志「ぶるぶる」
3ピースバンド「Half-Life」のメンバーとして、またソロプロジェクト「らせん。」として音楽活動をつづける上里氏。宮古島に生まれ、祖母にユタ(霊能者の一種)を持つ彼が語るのは、虚構ではぜったいに到達できないリアリティの塊。今作では、実際に彼が体験した怪異が、いままさに怯えているような口調で語られる。
3. 長州小力「両親の写真」
怪談・オカルトファンという側面を持つ小力氏。語り手としての活動は少ない氏の、レアな体験談が今作。怪異自体はシンプルでわかりやすいものの、「芸能人フットサル」「モー娘。チーム」といったポップで馴染みのある語彙のおかげで身近に感じられ、その分消化しづらい。その消化しづらさに快楽を覚えたら、あなたはもう怪談ファンである。
4. 響洋平「部屋の香り」
テクノ系クラブDJとしても活躍する響氏。理知的で清潔感のある語り口のため、どんな話も決して下品にならない。今作では、登場人物の心理を丁寧に描写し、さらには自身の考察を交えながらも、着実にプロットを進める話術を堪能できる。
次回の更新は10月27日(火曜日)です。
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