高まる!師弟のサイエンス魂『ウルトラマンアーク』第5話「峠の海」
『恐竜博士』として子供たちの憧れの存在である牧野博士が星元市にやってきた! 峠で見つかった新種の化石の調査のためらしい。ユウマは自分も憧れていた博士にあえると喜ぶのだが、ヒロシは複雑な表情を浮かべる。実は博士はヒロシの恩師だった! そんな中、一夜にして化石のあった場所が湖と化す現象が発生し…。
(「TSUBURAYA IMAGINATION」より転載)
本稿はタイトルに記載された作品のネタバレを含む感想です。
事前情報をほとんど入れず、作品を見ただけで書いておりますので、多少の間違いは笑ってご容赦ください。
メインキャスト紹介編、今回の主役は所長・伴ヒロシ。
脚本・監督は『ブレーザー』「虫の音の夜」「天空の激戦」での人物描写が光った根元歳三・武居正能コンビ。
今回のタイトル「峠の海」、実に風情のある良いタイトルです。
声に出して読みたくなる名タイトル、第一期シリーズに負けてないです。
アバン
トンネル工事からの化石発見(現場なのにガッツリクリーニングされていますwww)の報道を見て冴えない顔のヒロシの胸中やいかに。その夜はおおっ水没特撮!小規模ながら技術の継承という意味でも希少なシーンです。現場のコーンが小さく作り込まれ、流されているところをチェックしてください。
あと、牧野博士の紹介HPがなかなか楽しいです。
Aパート
大光峠に突如出現する湖の調査に訪れたSKIP一行、牧野博士とヒロシは再会を果たします。訳ありながら紳士的に振る舞う二人、大人です。
今回の調査のキーワードは「塩分濃度」。
山中に突如出現した塩湖の謎を探ります。
当初の仮説は「怪獣が海から穴を掘った」というものでした。しかし空振り、怪獣の存在の裏付けがないまま、調査の打ち切りを口にだすメンバー。そんな状況に、ヒロシは「ほんとにそれで良いのか?納得できてないんじゃないのか?99%、怪獣はいないかもしれない。だがもし避難を解除して、市民に何かあったら?(中略)自然現象に対して、完璧はあり得ない。だが、俺たちには責任がある!納得できるまで、とことん調べてみようじゃないか!」と檄を飛ばします。
この名セリフでチームの空気は一変!避難解除のリミットまで、怪獣探査は続けられるのでした。ギリギリまで頑張って!ギリギリまで踏ん張って!
リーダーたるもの、科学者たるもの、こうあるべしです。
私も大学の実験や治療のリサーチでは、納得いくまで徹底的に手を動かし、頭を使うことを教わりました。めちゃめちゃ共感です。
Bパート
休憩スペースでのヒロシと牧野博士の語らいも最高です。
ヒロシが大学時代に大光峠で発見し、牧野博士のもとに持ち込んだ化石は、なんとリヴィジラの化石。
しかし、博士は怪獣の存在を認めなかったため、化石は研究対象とならず、人類は無策のままK-dayを迎えてしまいました。
このシーンを見た時に頭によぎったのは、以下の名言です。
牧野博士は自分が若者の自由な発想の芽を摘み取った事でK-dayを見過ごした事を、ヒロシは研究を放棄した事でK-dayを迎えたことを、それぞれ悔やんでいたと語ります。
その後、ヒロシはSKIPに入所、牧野博士は化石の研究に取り組み、それぞれ成果をあげました。
一度は挫折しても、諦めなければきっと何かが得られる、そんな人間の素晴らしさが伝わります。
当時のヒロシには、牧野博士に対し思うところもあったでしょうが、冒頭の化石発見で、牧野博士が自分の発見を認めてくれたことを知り、そのわだかまりも解けたのでしょう。
回想シーンを使わず、最小限のセリフと演技だけ、このような良質の芝居が、子供達の心に何かを残してくれると良いですね。
あらためてタッグを組んだ師弟の科学者がたどり着いた次なる仮説は「塩分濃度勾配は、怪獣が生み出す塩分に由来する」というトンデモないもの。
そして、満を持して登場する巨鯨水獣リヴィジラ発音むずい。
光る目に被る「ウルトラQ」のSEが渋いキーラ。
Cパート
ユウマは水中に飛び込んでアークに変身します。しかしリヴィジラによって、透明度の悪い水中に引きずり込まれてしまいます。
この透明度の悪さ、水没した工事現場のセットが、いかにもといった感じで実にリアルです。
リヴィジラの全体像が掴みにくい弊害はありますが、そちらはソフビでカバーですね。
かなり個性的な面構えのリヴィジラ、エコロケーションで水中を機敏に動き回り、アークをどつき倒し、頭部の噴水孔からの塩水噴射で圧倒します。
ここで今週の想像力大喜利、今回はバリアを光輪で3分割、スクリューに組み立て直して飛ばします。
スクリュー音に反応したリヴィジラの噴水孔を木で塞ぎ余裕のアーク、アークファイナライズでリヴィジラを粉砕したのでした。
ラスト、子供のようにはしゃぎながら怪獣科学談義をするヒロシと牧野博士、そしてくしゃみでユピーをびっくりさせ「ごめんなさい」と詫びるユウマがお茶目でした。
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