Tonight the Streets Are Ours - Richard Hawley

Do you know why
知ってるかい?
you've got feelings in your heart
きみがそんな気持ちを抱くわけを
Don't let fear of feeling fool you
恐れにきみを好きにさせちゃいけない
What you see sets you apart
きみが目にするものがきみを作る
And there's nothing here to bind you
ほら、ここにきみを縛るものなんてない
It's no way for life to start
人生の始め方なんて決まってない

But do you know that
でも知ってるかい?
Tonight - the streets are ours
今夜、通りはみんなぼくらのもの
Tonight - the streets are ours
今夜、通りはみんなぼくらのもの
And these lights
あらゆる灯りも
in our hearts they tell no lies
心の灯りはみんな嘘なんかつかない

Those people,
あんな奴ら、
they got nothing in their souls
みんな空っぽのすっからかん
And they make our TVs blind us
テレビでめくらにされたぼくら
From our vision and our goals
見えなくなった未来に行き先
Oh the trigger of time it tricks you
時限装置に引っ掛けられてもはや
So you have no way to grow
変わるすべさえひとつもない

But do you know that
でも知ってるかい?
Tonight - the streets are ours
今夜、通りはみんなぼくらのもの
Tonight - the streets are ours
今夜、通りはみんなぼくらのもの
And these lights
あらゆる灯りも
in our hearts they tell no lies
心の灯りはみんな嘘なんかつかない

And no one else can haunt me
何もぼくには取り憑けないはずだったのに
The way that you can haunt me
何故だかきみは取り憑けたんだ確かに
I need to know you want me
ぼくがいて欲しいと思って欲しい
I couldn't be without you
ぼくはきみ無しじゃいられないのに
And the light that shines around you
きみを縁取りまたたく灯り
No, nothing ever mattered more than not doubting
そう、絶対何よりずっと大切なのは疑いなんて持たないこと
But tonight the streets are ours
だけど今夜、通りはみんなぼくらのもの

Do you know how
知ってるかい?
to kill loneliness at last
孤独もついには殺せる方法
Oh there's so much there to heal dear
どっさり山ほどある愛しき癒し
And make tears things of the past
未だ涙が滲む消えやしない過去

But do you know that
でも知ってるかい?
Tonight - the streets are ours
今夜、通りはみんなぼくらのもの
Tonight - the streets are ours
今夜、通りはみんなぼくらのもの
These lights
あらゆる灯りも
in our street are ours
通りもみんなぼくらのもの
Tonight - the streets are ours
今夜、通りはみんなぼくらのもの
And these lights
あるゆる灯りも
in our hearts they tell no lies
心の灯りはみんな嘘なんかつかない

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 バンクシーの映画、『イクジット・スルー・ザ・ギフトショップ』のテーマ曲として使われていてそれで知った曲。

 グラフィティーという非常に個人的であったアート・ゲリラ活動が「アート」になっていくにつれて「僕らだけの遊び場」だった頃にはあったあの輝きを失っていき、アートではなくなっていく。もう元には戻れず、僕らの友情もまた帰らない。シニカルなドキュメンタリー映画でありながら、胸を締め付けられる切なさを湛えた傑作が『イクジット・スルー・ザ・ギフトショップ』であった。何度見ても泣いてしまう。大人になんてなりたくなかった。きみもぼくも。

 映画の中でこの曲はその失われた輝きを象徴する形で置かれている。

 2007年リリースの曲でありながらかつてのパンクやそれ以前のカウンターカルチャーの叫びを思い起こさせる歌詞、ノスタルジーに満ちたアレンジ。でもハウリーが様々なテレビ番組の司会に扮するMV。僕らが信じたカウンターが、その敵であったはずの商業主義にすっかり呑まれてしまったそのあと、というこの皮肉な作品は、あの映画のテーマ曲としてぴったりだったろう。

 僕もこの曲を聴くと、いや聞かずとも、もう僕の一番いい時代は過ぎ去ってしまって、あとは「あの頃は良かった」の滓を燃やして生きてくのだろうと思う。もう友達なんてほとんどいない。誰を友達と呼んで良いのか、知り合いと呼ぶべきかは分からない。人として好意を抱く人はいるけど、その人の「友達」に僕が見合うとは思えない。
 通りは僕らのものだと信じられた夜があったはずだ。僕らは気兼ねなくみんな友達だったはずだ。どこで何を間違ったんだろう?どこから間違ってて、どこまで合ってたって言うんだろう。通りは僕がひとりぼんやり突っ立ち、他にはもう誰もいない。

 本当にそんな夜があったのか。もう分からない。ノスタルジーの対象は、本当はなかったものでも構わないし、いくらでも過去は美化できる。だからどんなに下らないと分かってもノスタルジーを捨てられない。つまらなくなったのは、初めからつまらなかったのは僕自身、たったそれだけの話かもしれないのに。

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