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モーリーの闘病日記(6)再々手術ストマ編


2004年2月2日 

家族も同席して手術についての説明。手術も3回目になるならば、説明も3回目だ。
術式はやっぱりストマ造設のみで、縫合部(穴のあいているところ)は全くいじらない。自然治癒を期待する。
看護婦から「ストーマをつくられる方へ」というパンフレットみたいなものを渡される。それによると、手術後は黒ずんだ紫紅色から鮮やかな紅色になってくる、術後1〜2週間はむくみがあり大きさが変化する、半年くらいかけて徐々に落ち着いてくるという。
私の場合、だいたい3ヶ月程度で元に戻せるだろうとのこと。やっと慣れてきたかなというころかもね。まー、夏の暑い時期の前に戻せればいいかなと考えているのだが。
採血の結果はCRP0.7、ヘモグロビン10.8とまずまず。しかし腹のドレンチューブの部分が痛い。腸液が漏れてしみるのか、こすれていたいのか。たまらずロピオンを使っちゃう。

2004年2月3日 術前準備

また例によって毛を剃ったり、手術室担当の看護婦が挨拶に来たり、麻酔医が来たり。もう3回目のおいらにゃ分かりきっている手順。手術慣れだね。
いろいろと動いていると腹のドレンのチューブが抜けてくる。朝見た時より確実にびよ〜んと飛び出してきている。先生はどうせ明日手術だからと最初はそのまま放置されたのだが、痛くてたまらなくなる。で、結局抜いてしまう。確かにどうせ明日は手術でドレンのチューブも入れ直すだろうからいいでしょ。
入院仲間がぞろぞろと増える。この時はラウンジにクローン病5人が揃う。みんなで点滴をしている姿はちょっと壮観だ。
話の中心はやっぱり食い物に。ホント、早くなんでも食べられるようになりたいよねー。笑いながら話していると、明日の手術のこともストマのことも気がまぎれる。やっぱりおしゃべりっていうのはストレス解消にいいよね。

2004年2月4日 再々手術

朝の検温、37.1℃。ドレンを抜いてしまったため腹腔内から廃液できないのか、なんか痛い。どうせ今日腹開けるんだからたぶん大丈夫でしょう。朝からロピオンの点滴をしてもらう。
現在、朝の7時40分。手術は今日の2番目の予定で、前の人が終わり次第開始ということになる。早くて2時くらいとの話だが、絶対に夕方の6時とか7時からになると思う。もう病院で待つことは当たり前なので、気楽に待つことにしよう。
起きたときには「袋」がついているんだよなと思うと憂鬱。が、もうしょうがない。あとは術後の痛みが少なければと願うばかりである。

2004年2月7日 ストマ日記

手術当日の続き。5時過ぎに呼ばれて手術室へ。8時半頃には終わる。結局、3時間半ほどであろうか。癒着がひどかったのでそれを剥がすのに時間を要したが、無事、ストマ造設となった。

術後一日目。5周歩く。腹が痛いがそれほどでもない。もう完全に手術慣れしている。しかしこの時からストマの管理が始まる。始めてのパウチ(袋)交換になるわけだが、かったるいので看護婦さんにすべてやってもらう。なんか皮膚の保護剤を塗ったりパウダーがあったり、隙間を埋めるためのパテみたいなものがあったりと面倒くさそうだ。

そして術後二日目となるわけだが、ほとんど普通。10周歩く。みんなにすごいすごいと言われるが、もうオレは3回目で余裕なんだよと毒づく。ちょっと反抗期。
マーゲンチューブも尿管カテーテルも抜けて、飲水OKになりポカリを500ml飲む。じゃんじゃんパウチに貯まるので捨てにいくのが面倒。最初は看護婦が捨ててくれたが、いつまでも甘えさせてくれない。まだ便というよりは緑色の澄明な液体。そのうちウンチみたいになってくるのだろうが、臭いがきつくなってくるのはいやだな〜。

まー、とにかく手術も3回目となると慣れてくるのか本当に痛みは強くない。鈍くなってくるのか。
ストマは受け入れるもなにも、ついてしまったものは仕方ない。もう少し腸管からの吸収が良くなって、捨てにいく回数が減ればと思う限りである。
しかし本当に吸収も良くなって慣れてきた数ヶ月後には外してしまうんだからなー。いいんだか悪いんだか。

2004年2月8日 最短記録

術後3日目である。はやくも食事開始。たしかに口からストマまでの間には、つないだりしたところがないわけだから、食事は早く開始できる。できれば5分粥から始めて欲しかったが、流動食からで2日ずつ上げていくという。ケチ。
もう流動を食べるのは何回目だろうか。いい加減イヤになってくる。流動だけは勘弁と一日だけにして3分粥に上げてもらう。

パウチ交換。まだ看護婦さんにすべてやってもらい見ているだけ。まじまじとストマを見る。グロである。腸の蠕動運動なのかうねうね動くのである。愛着がわくというが、どうでしょう?
看護婦が言うにはまだむくんでいて、もっと小さくなると言う。そんなもんなのかね。
便は液状なのでパウチを排出口が細いキャップ式のタイプに変えてみる。便が捨てやすくなって便利になる。それにしても、数時間置きにトイレに行かないと袋がパンパンにいっぱいになってしまう。夜は途中でわざわざ起こしてもらって、トイレに行って捨てなければならない。うっかり破裂させてしまったら・・・と考えるだけでも恐ろしい。

昼 流動、くず湯、野菜スープ、オレンジジュース
夕 流動、南瓜ウスクズ煮、だしスープ、ヨーグルトドリンク

2004年2月9日 食べる喜び

朝 3分粥、スパゲッティ柔らか煮、だしスープ、アップルジュース
昼 3分粥、くず湯、ハイハイン、アップルジュース
夕 3分粥、ポテト柔らか煮、だしスープ、洋梨缶、アップルジュース
3分粥の開始である。久しぶりの固形物。いつ以来だろう? 2か月くらい経っているんじゃないのか。やはり噛むという行為は素晴らしい。固形物を食べたせいか、一気に泥状の便になる。やっぱり流動とは違うのね。
昨晩より、パウチの袋からチューブをつなげて、別の大きな袋に便を貯められるようにする。こうすればパウチがいっぱいになって破れる心配もない。おかげでぐっすりと寝る。

2004年2月10日 人生ゲーム

昨晩「エイリアン2」を見終わって、さて寝ようと思ったら腹と背中が痛くなる。その痛みかたが術前に起きていた腹痛と似た感じなので狭窄かと不安になる。もう食事を摂れるようになったのでロピオンの点滴ではなく、解熱鎮痛剤の錠剤であるロキソニンをもらう。
ちなみにロキソニンの成分はロキソプロフェンナトリウムというもの。同じ成分で飲みきりに分包されている液剤、オロロックスというものがある。こちらの方が便利なのにこの病院では採用されていない。残念。
で、その後は痛みも治まり、今日一日腹痛も起きないので大丈夫なんだろう。まだ術後五日目。やっぱり身体が落ち着くには十日くらい必要でしょう。

ヒマなのでトランプでもないのかと看護婦に聞くと、なんと人生ゲームがあるという。なんであるのか分からないが、奥から出してきてもらい箱を見ると○○Dr寄贈と書いてある。なんでも昔、落ち込んでいる患者がいて励ましてやろうと看護婦が一緒に遊んであげたら、その患者が一番ビリになってしまいますます落ち込んだというウソみたいなホントの話があったそうだ。
で、早速集合をかける。集まったのはいつものクローン病4人。ギャーギャー騒ぎながら1ゲーム終わったら、さっさと取り上げられてしまった。よっぽどうるさかったらしい。他の人に迷惑をかけちゃいけませんね。
夕食後、再び集まると一人がトランプを持っているという。なんだ早く言えよで、インディアンポーカー大会になる。で、まさかまさかでビリになる。人の心を読むのって苦手。

朝 3分粥、手まり麩煮、だしスープ、アップルジュース
昼 3分粥、くず湯、ボーロ、アップルジュース
夕 3分粥、甘藷煮、だしスープ、リンゴ缶、アップルジュース

3分粥。食い足りないと思いつつ食べ終わるととてもお腹いっぱいになっている。やっぱり絶食の期間が長かっただけに急には食べられないのか。明日から5分粥だが、全部は食べられないだろうね。

2004年2月11日 食べられない

やっぱり絶食期間が長かったからだろう。どうしてもちょっとしか食べられない。このままずっとちょっとしか食べられないのでは思ってしまう。
あれだけあった食欲。あれ食べようこれ食べようと考えていた欲求も、ちょっと食べられるようになるととたんに消えてしまった。今は肉だとか脂っぽいものは食べたいと思わない。食べようとしてもたぶん受けつけないだろう。
まったくダイエットにはいいだろうが、こちとら体重増やさなきゃいけないんだから。
ストマのパウチ交換。術後3回目でそろそろ自分でできるように覚えなければならない。看護婦に教えてもらいながらやってみるが、なかなか面倒くさい。慣れるまでちょいとかかりそうね。

朝 5分粥、マカロニ煮、かぶ柔か煮、味噌汁(実なし)、アップルジュース
昼 5分粥、皮むきオヒョウ煮魚、アスパラ缶、ヨーグルト、プルーンゼリー3コ
夕 5分粥、豆腐煮、ポテト柔らか煮、洋梨缶

今日から5分粥なのだ。なんどもいうが食が落ちているので、さほど嬉しくない。かぶは嫌いだから食べない。アスパラも激まずで食べない。煮魚を食ったせいか、その後ずっと気持ち悪い。
午後、いつものSさんがパン、リンゴジャム、伊達巻き、くりきんとん、スープを持ってきてくれる。パンはバターを使わない自家製のものだそうだ。
で、夕食は病院食にほとんど手をつけず、パンを食べる。パンおいし〜!

2004年2月12日 どうもぱっとしない

来週には退院ねと主治医から言われる。またまた軽々しくそんなこと言って。そう簡単には信じないぞ。だいたいまだ術後一週間しかたっていない。ドレンもぬけていないし抜糸もまだだ。
それにしても食欲が回復しないのと尿の量が少ないのと気持ちが悪いのである。熱が出たときみたいな感じなのだが37℃前後でそれほどない。今日も魚をちょっとだけ食べたのだかそれのせいか。そして点滴の量が減ってくるにつれ、おしっこの量が確実に減る。今日なんか昼間に100ccだけ。う〜ん、不安だらけなのだー。

朝 5分粥、スパゲッティ柔らか煮、皮むき茄子煮、味噌汁(実なし)、オレンジジュース
昼 5分粥、皮むき平目煮魚、人参たんざく煮、ヨーグルト、ハイハイン
夕 5分粥、豆腐煮、里芋含め煮、洋梨缶、アップルジュース

2004年2月13日 やっぱりぱっとしない

全粥食になって点滴も外れる。点滴がなくなったのはかなりでかい。トイレに行くにもどこに行くにも点滴台をガラガラと押しながら歩いたもんだ。しかしこれが杖がわりになっていたりして、なくなってしまうと妙に不安定だったりもする。せっかく点滴台もなくなったんだからと9階の病棟から6階の売店まで階段で上り下りする。もう大変。亀のようにノロマになる。
熱も落ち着いているのだが、熱が出た時のように気持ち悪い。主治医が言うには電解質のバランスが悪いのかもとのこと。明日、採血でみてみようとのこと。たいしたことなければいいのだが。

朝 全粥、野菜エッグ焼、鶏そぼろ煮、味噌汁(実なし)、アップルジュース、梅びしお
昼 全粥、レバーホルモン焼き、南瓜煮、りんご缶、ヨーグルト、のり佃煮
夕 全粥、蒸し魚正油あん、茄子青浸し、たいみそ

さすが全粥ともなると朝からたっぷりである。うれしいが食欲が落ちているので半分程度しか食べられない。レバーなんて食べるのは何年ぶりだろう。ちょっと口をつけてみると案外おいしくていける。結局レバーは全部食べてしまう。魚は怖いので全く手をつけず。もらった最後のパンを夕飯にする。

2004年2月14日 もう一息?

朝起きたらすぐに血液検査。お昼には結果が出ているようなので研修医をつかまえて聞いてみる。やはり脱水症状があるそうだ。で、カリウムが多くて、なんかが足りなくて電解質のバランスが悪い。もっとおしっこをたくさん出すようにということなのだが・・・。毎日、ポカリスエットとエビアンを500mlずつ飲んでいるのだがまだ足りないようだ。ストマから出てくる便の量は1000mlをきり、少しずつ水分の吸収能は上がっていると思うんだけどね。
あとはお腹のドレンのチューブ。微妙に汚いものがまだ出ているようでなかなか抜けない。「来週には抜けるよ」とS先生は明るく言う。また根拠もなくそんなこというんだから。
気がつけば入院して3ヶ月である。長げえよなー、まったく。まー、食欲も少し戻ってきたしもう一息じゃないのかな。
今日はストマのパウチ交換。教えてもらいながらほぼ自分でやる。サンプルで貰ったコロプラストのマジックテープタイプを使ってみる。便の捨てやすさはまあまあだ。

朝 全粥、高野煮、スープ煮浸し、味噌汁(実なし)、オレンジジュース、梅びしお
昼 煮込みうどん、半片バター焼き、ヨーグルト
夕 全粥、こはく蒸し、とくさ煮、清汁

ここのうどんって激マズ。腰も何もない。まったく駅のうどんの方がよっぽどマシだよ。

2004年2月14日 バレンタインデー

知り合いのKさんが退院。一番の話し相手だっただけに残念。ま、めでたく退院なので残念がってもしょうがない。
で、Kさんの家族の方におすすめというレバー料理をもらう。まったく臭みがなくておいしい。体に良さそうだ。私も退院したらおいしいレバーを探してみよう思う。
午後、友達がベーグルやチョコレートを持って見舞いにきてくれる。そうなのだ、今日はバレンタインデーなのだ。義理とはいえ何年ぶりかでもらったチョコ。退院して体調が良くなったらいただこう。ベーグルは油を使ってないのでいいという。夕食に食べると一個で腹一杯になってしまう。

朝 全粥、白子干し、塩炒め、煮奴、味噌汁(実なし)、梅びしお、アップルジュース
昼 全粥、すき焼き、バナナ寄せ物、ヨーグルト
夕 全粥、ミリン漬け、南瓜ウスクズ煮、かき玉汁、ヨーグルトドリンク

まさかすき焼きが出てくるとは予想外であった。たまに肉が出てくるよとは聞いてが、腸炎食とはいえ病院で出てくるものなんて結構いいかげん。でも久しぶりに肉らしい肉。うれしくて結局全部食べてしまう。
さあ寝ようかというときになってストマのパウチが剥がれかけていることに気づく。あぶないあぶない。漏れるまえでよかった。最近下痢便が続いたせいか、それともパウチが合わないのか、とにかく交換だ。今度はダンサックとかいうものを使ってみる。
ストマと皮膚の境からはなんとなく出血しているし、ちとばかりかゆみもある。ストマの抜糸もまだだから、これくらいはしょうがないのだろう。
朝夕はやっぱり気持ち悪く、下痢で便量1400くらい。尿量が500ちょっとまで落ちてしまう。

2004年2月15日 まわりにはこのような患者もいるんだよ

最近になって話すようになったクローン病のAさん。年齢は50才。若くて派手な女性が毎日のように見舞いにきているので、いったいどういう関係なのだろうとずっと考えていた。奥さんにしては年が離れすぎているし、娘にしてはしっくりこない。きっと奥さんの妹だろうとういうのがあらかたの予想であった。
ところがである。話を聞いてみてびっくり。なんと奥さんなのだそうなのだ。しかも28才。年の差が22才である。テレビかなにかで年の差の離れた夫婦をみたことはあるが、実際に会うのは初めてである。
気になるのでなれそめを聞き出す。出会いは本当に偶然。たまたまお店で前後に並んでいたので知り合って、自営業のAさんのところにアルバイトに来るようになったのがきっかけだそうだ。ものすごい運命である。本当に偶然なんだよね。
それにしても失礼ながらAさんは決してお金持ちというわけでもなく、とても美男子というわけでもない。ごく普通の50才の人。4年前に結婚したそうだが、もちろんクローン病を発病していた。
年をとろうが病気を持っていようが結婚できるのである。全く素晴らしい例である。このような患者もいるのである。全国のクローン病患者に希望を与えるのではないだろうか。

で、体調はというとお腹のドレンが抜けてすっきりする。気分的にも良くなったようで徐々に快方に向かっている気がする。

朝 全粥、豆腐くず煮、里芋煮、味噌汁(実なし)、梅びしお、アップルジュース
昼 全粥、牛味噌漬焼、アップルゼリー、ヨーグルト
夕 ご飯、マナガツオ照焼、チンゲンサイ煮、清汁

量を食べるために全粥から常食に変えてもらう。それにしてもまた肉がでてくる。決して脂が少ないという感じではなかったが、やっぱり全部食べてしまう。
フェロベリンという下痢止めを飲んでいたが効果がいまいちなのでロペミンという下痢止めも追加する。これが結構効く。

2004年2月17日 今度こそ

血液検査の結果、特に目立った変化はないようだ。大して良くもなく、とても悪いというわけでもない。尿の量は700ml程度。その程度出ていれば大丈夫だろうと。ロペミンを飲み始めたせいか便も泥状に固まってきて量も減る。快調快調と思っていたが、夕方、急に気持ち悪くなる。熱は37.1℃。なんだかなー。
しかし大きな問題は、もうさすがに起こらないだろう。ドレンを抜いた穴からはまだ廃液が出てくるが、膿んだり感染したりしない限り収まっていくだろう。
今週中か、遅くとも来週にはと考えてしまう。今度こそ大丈夫じゃない?

朝 ご飯、サケ缶、白菜スープクズ煮、味噌汁(実なし)、アップルジュース
昼 ご飯、茄肉団子、野菜スープ煮、白桃缶、ヨーグルト
夕 ご飯、平目ピカタ、たんざく煮、清汁

久しく食事から離れていたのもあるし今まではそうめんやうどんばかりの生活だったので、米をよく噛んで食べようと心がけると口が異常に疲れる。モグモグやって飲み込むと休憩。連続してモグモグできない。よく噛まないと消化悪いだろうしなー。やっぱりお粥に戻してもらおうかなどと思ってしまう。

2004年2月18日 予定日

金曜日に退院ということで先生と決める。あくまでも予定であるが退院の目処がついたというわけだ。術後2週間が経とうとして大きな問題もなく、あとはドレン跡の穴の閉鎖とストマケアくらいである。
あとちょっとだと思うとよけいにイヤなものが気になる。例えば同室の人のいびき。IBDで手術をするらしいのだが太っているのである。痩せろっちゅうの。ずっとカーテン閉めっぱなしだし変な人だ。同じく同室のおじいさんはうんこを漏らしまくってトイレをいつも汚しているし。あーいやだいやだ。

朝 ご飯、野菜の五色揚煮、南瓜煮、味噌汁(実なし)、アップルジュース
昼 ご飯、煮魚(キンメ)、豆きんとん、ミカン缶、ヨーグルト
夕 ご飯、こはく蒸し、奴とうふ、清汁

白身の魚は気持ち悪くなると思いつつ、キンメの煮付けを食べてしまう。どうかと思ったが気持ち悪くならない。なるべく皮に近いヌルヌル部分を食べないようにしたのだがそれがよかったのか。よくわからないがとにかく食べられるようになったみたいなのでラッキーである。

2004年2月19日 白衣の天使

退院後の診察予約日などいつのまにか決められていた。もうすっかり明後日退院ということで話が進んでいるらしい。なんかあっさりという感じもして、ちょっと寂しかったりして。
それにしても年をとると人というのはわがままになるのだろうか。人のことを悪くは言いたくないが、あまりにも横柄な態度をとる患者に怒りを覚える。看護婦を呼んではあーだこーだとぶっきらぼうに言う。その人はどうも治療がうまくいかなくて大変らしいのだが、それにしてもである。そこそこ元気になったのに寝てばかりで歩こうとしない。あれじゃ良くならないでしょ。まったく。
しかし、看護婦さんはやさしいのである。決して怒ることはない。どんな態度をとられてもいつもニコニコとてもやさしく接している。「おい、なんでそんなことを言っているんだ」と私が怒りたくなるくらいなのだが、絶対に怒らない。
そのように教育されているのであろうか。ま、患者とケンカするわけにはいかないだろうが、ストレスがたまらないかとこっちが心配してしまう。わりきっているんだろうね。
他人のふりみて我がふりなおせ。あんなおっさんにはならないようにしよう。

朝 ご飯、皮むき茄子煮、焼豆腐煮、味噌汁(実なし)、アップルジュース
昼 ご飯、厚焼卵、野菜煮、ヨーグルト
夕 ご飯、汐焼、ブロッコリー煮、りんご缶、清汁

ほぼ食事を全部食べれるようになってきた。慣れですな。食欲も旺盛になってきて、脂っこいものが食べたくなってくる。いいような悪いような。

2004年2月20日 外出許可

ストマ部分の抜糸。腹を切った跡の抜糸はとっくに終わっていたのだが、ストマのところはだいたい術後2週間という。で、パウチの交換サイクルにあわせて抜糸となったわけだが、い、痛すぎる。糸が肉に埋まってしまっているのでどうしても引っ張りだしたり皮膚も傷ついてしまうのかもしれないが、パチンとハサミで糸を切るたびに激痛が走る。泣きそうになる。めちゃめちゃ痛いっちゅうにの。それからドレン跡の穴。なんかグリグリとやられる。よくわからんが変な肉芽を削り取って治りをよくするという。これがまた痛くてヒーヒー言ってしまう。ここまできてこんなに痛い目にあうとは思わなんだ。で、まだ完全に穴が塞がってない。イソジンを渡されて、退院後は綿球を自分で買って消毒してくれと言う。そんなもんでいいのかね。
昼前に久しぶりのシャワー。鏡に映ったその姿は、減量した力石にそっくり。だって45kgしかないんだもん。まったく痩せ細ったもんだ。
午後から許可を貰って外出。先に退院したAさんの模型を見せてもらいに隣町まで出かける。駅までゆっくりゆっくり歩いて地下鉄に乗って一駅。院内で階段の上り下りをしていたせいか思っていたよりも楽に歩ける。それでもなんか頭がぼーっとした感じ。ファミレスでお茶をしようということになり、ケーキセットを注文。ティラミスとチーズケーキとカルピスソーダ。ううっ。涙が出るほどおいしい。病院じゃこんなもの出なかったもんな。病院に戻って疲れたのかすぐに寝てしまう。

朝 ご飯、かつお正油和え、ツナスープ缶、味噌汁(実なし)、梅びしお、アップルジュース
昼 ご飯、煮合わせ、角煮、バナナ、ヨーグルト
夕 ご飯、エビケチャップ、煮浸し、たいみそ

「かつお正油和え」なんて献立に書いてあるのだが、かつおを探しても見当たらない。どうやらキャベツの和え物に鰹節をかけてあるもののことらしい。そりゃないんじゃないの?

2004年2月21日 退院の日

やっぱりワクワクして何度も夜のうちに目が覚めてしまう。5時半ごろから起きだしてうろうろする。朝ご飯を食べて回診が終わって荷物の整理を始める。3ヶ月分の荷物。入院した時よりも確実に増えている。荷物を出してベッドの上に並べるとうんざりとして整理する気もなくなる。
家族に車で迎えにきてもらったわけだが、駐車場に荷物を運ぶのも一苦労。結局病院を出たのは11時過ぎ。昼食ははなまるうどん。思い切ってかきあげとコロッケをつける。夜はナポリタン風スパゲッティを作って食べる。
横にならなかったせいか疲れた。頭もぼーっとして見ているモノの現実感がない。家に帰ってきてホッとしたというよりは、なんか環境が変わって戸惑っている感じ。夢の中みたいだね。

2004年2月22日 だらだらする

とりあえずまだ傷跡が痛かったり身体がだるかったりで家でだらだらする。持ち帰った荷物の整理だけでほとんど一日を費やす。やらなきゃいけないことはたくさんあるのだが、なんにもやる気がしない。まー、まだまだと都合のいいように解釈。
夕方から買い物にお出かけ。ドレン跡の消毒用にガーゼやら絆創膏など買いにマツモトキヨシへ。出かけたついでに以前から気になっていた車のタイヤチェックをしにカー用品店へ。100kmくらいのスピードを出すと細かな振動があるのだ。おそらくバランス調整の問題と思っていたら、なんと亀裂が見つかる。いつバーストしてもおかしくないと言われ、しかたなく2本だけタイヤを買い替える。思わぬ出費だが事前に不具合が見つかって良かったと前向きに考える。ホントに事故になる前で良かったのだ。

2004年2月22日 なんかよくない

朝飯前にストマのパウチ交換。だらだらやっていたら2時間もかかってしまう。本当は数十分でできるはずなんだけどね。なかなか慣れない。
それよりもドレン跡の穴がまだ塞がらない。簡単に塞がるかと思ったが未だに膿みたいな物がしみ出てくる。イシジンで消毒してガーゼをあてる。
昼から出かけてみる。本屋と水上公園と釣具屋とコンビニ。疲れたというよりも途中で腹が痛くなって、その影響で背中も痛くなって苦しむ。主要病変部と考えられる場所は切除したはずなんだけどな。しかも食事の影響で悪くなっているとしたら、ストマより上部ということで小腸の上の方が悪いのか? やっぱり悪そうなものは食べるのを控えておこう。
なんだかもうひとつパッとしませんねー。のんびり養生しましょ。

2004年2月29日 おかえりMac

退院してから3回目のストマのパウチ交換。だいたい3日サイクルで交換しなければならない。まずタイミングが大事。食後しばらくはウンコがじゃんじゃん出てくる。こんなときはパウチをはがして皮膚をきれいに洗っている間にもどんどんたれてくるので
たまらない。で、いつも朝飯前に交換ということにしている。
3回目ともなるとだいぶ慣れてきて、最初は2時間も3時間もかかっていたのが1時間で終わるようになる。新しいパウチを装着後は接着面が安定するまで30分程度じっとしていなければならない。交換自体の作業は30分程度だ。まぁそれでも面倒くさい。
午前中に宅配便が届く。おおー、Macが戻ってきたぜ。伝票には画面が真っ暗になる症状と左スピーカーの音割れが確認されたと書いてある。それでロジックボードとトップカバーを交換したと。いやなんか音が悪いなと思っていたんだけど。故障だったんだね。さっそく電源を入れてテスト。音質バッチリ。一日使ってフリーズもない。よかったよかった。これでばんばん仕事ができるってもんよ。

朝 あんパン、ジャムパン
昼 ラ王(醤油味)
夕 ご飯、玉子焼き、肉ジャガ

生麺で醤油味なら大丈夫だろうとラ王に手を出してしまうが、スープにはたっぷりと油が浮いている。やめときゃよかったと思いつつ全部食べる。とりあえず悪くなった様子はなさそう。
おいしいダシ巻き玉子を作ってやろうと試みるがどうやってもきれいに巻けず、結局いり卵みたいになってしまった。どうやら生地をたくさん入れ過ぎたらしい。初めての挑戦はそんなものさ。

2004年3月1日 ウミがいっぱい

朝起きてふと気がつくと、ドレン跡につけておいた脱脂綿がぐっちょり。寝ている間にじゃんじゃか膿が出てきたようだ。ストマのパウチのシール部分にまで染みてきて、こりゃダメだと予定より一日早く交換。まったく面倒くさいったらありゃしない。ドレン跡を消毒し直すが、イソジンを染み込ませた綿球で消毒している間にもどんどん膿が出てくる。薄黄色のどろっとした液体。膿って白血球が死んだヤツだったよなー、なんて思いながらも、いつまでも止まらないので困る。どこからこんなに出てくるんだ。
一時期は減ってきてこのまま塞がって治るものと思っていたのだが。金曜が本来の外来予約日なのだが、明日も調子が悪いようなら火曜日に病院に行こう。午後になると37.2℃の熱。やっぱり風邪のせいじゃないね。

朝 パン、あんずジャム、はちみつ
昼 エレンタールゼリー
夕 ご飯、焼き鳥、りんご

パウチ交換や消毒で疲れて寝てしまい、昼というか夕方になって起きる。さして食欲もなかったが、なんか食べなければとエレンタールゼリーを作って食べる。
鳥肉が安かったので買ってきてもらい、どう料理しようか迷ったが簡単に出来そうな焼き鳥みたいなものにする。一口大に切ってフライパンで焼くだけ。油なしで焼いたが、均一に焼くのは難しい。やはり油使ったほうがおいしいんだけどね。あとは七輪でも使って、炭火の網焼きにすればいいんだろうけど。またそのうちに。

2004年3月4日 確定申告はお早めに

確定申告の時期である。今回、初めて青色申告なるものもするのだが、昨年から入院が長引き、決算も何も準備が出来ておらず四苦八苦。どうにか帳簿を完成させて税務署へ。ちなみに税務署の道路を挟んで向かいに県税事務所というところもある。相談はそちらへ聞いたことがあるので行ってみると、税務署の方に行ってくれといわれる。県税事務所と税務署の違いってなに?
ともかく税理士の方に相談して問題ないとのことでコンピューターを使って最終的な確定申告書を作成。源泉徴収でとられていた税金のほとんどが戻ってくるのでうれしくなる。まぁそれだけ収入が少ないということなのだが・・・。

今日はパウチの交換日。ストマの大きさもだいたい落ち着いてきた。最初は直径が35mmほどあったのが、今はだいたい30mmで変化なし。
ストマはいいのだが、ドレン跡の膿は相変わらず。またちょっとひどくなった気がする。なんか、ずーんと痛い気がするし。はやく先生に診てもらいもんだ。しかし治療というのはどのようになるのだろうか? 抗生剤みたいなものを点滴したり薬を飲んだりするのだろうか。あとは切開して悪いところを切除しちゃうとか。いやそれは痛いよなー。

朝 パン、マーマレード
昼 コロッケパン、サンドイッチ、バナナ
夕 ご飯、塩鮭

深夜になって買ってきたレバーの煮物を作り出す。最初に水にさらしすぎたのかちょっとコクが無くなった気がする。レバーの煮物が出来たらビールが飲みたくなってしまい乾杯する。レバーをつまみにビールを飲む。なんか大人の世界。

2004年3月6日 通院日

朝9時半に予約となっているので早起きして出かける。どうしようかと悩んだが車で出かける。渋滞を予想して朝6時半に出発。やっぱり都心までは渋滞で2時間かかる。環状線から1号線に入るとスイスイと進み、9時には横浜の病院に到着する。
ストマの処置などがあったので、受け付けをすると待たされることなく処置室へ。パウチを外して残っていたストマの抜糸。実はまた痛いんではないかと、と〜ってもビクビクしていたのだが、全く痛くなく終了。ひー、助かった。
と思ったのもつかの間。例のドレン跡の穴を診てもらうと、ガリガリと削るという。うわっ、それって前にやられたやつじゃん。「先生、局所麻酔してやりましょうよ〜」とお願いするが却下。怖くて見てないが、なんかでガリガリとやられる。要は変な肉芽をとらなければいけないそうだ。で、変なところ(腐っているということなのか?)は痛くないからというが、これがめちゃめちゃ痛い。ホントに痛い。あー痛い。で、しかも一瞬の出来事ではなく、何回も繰り返される。2、3分の出来事であったろうか。うーもうイヤだ。全身脱力感でいっぱい。イッパイパイとか変なこと言っちゃうくらいしんどかった。
で、診察室に移って問診。膿はまだ治らないのか聞くと、これはなかなか治らないそうだ。「そのうち止まるから」だって。相変わらず真剣味のない回答だ。今回こんなに痛い思いをしたんだから治ればいいのだが。あとはあんまり腹の調子とウンコの調子が良くないと伝え、下痢止め薬の増量をしてもらう。
ペンタサ12錠、ロペミン6錠、フェロベリン3錠、ラックビー3袋、ガスター2錠、クラビット3錠。
こんなに薬を飲むなんてイヤだね。
病院が終わって実家に寄る。久しぶりに会う飼い犬には忘れられていてショック。しかしそれも最初だけで、しばらくすると思い出してペロペロやられる。あれこれモノをもらってくるが駐車場から家に運び込むのに一苦労。朝も早かったし疲れたのでとっとと寝る。

朝 なし
昼 おにぎり、バナナ、エレンタール
夕 ご飯、しらす干し、レバー

ストマのパウチ交換があったので朝はなし。昼は病院の売店で買ったおにぎりを入院中によく散歩していた広場で食べる。あの時には食べられなかったなーとしみじみ。帰り際に9階の病棟に寄る。まざまざと入院時の記憶がよみがえる。

この半年後…

ここから半年後に手術をしてストマを閉鎖する事ができました。
まとまりましたら公開します!

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