波動関数と泥棒〜量子力学より〜
シュレディンガーの波動方程式
よくわかる例え話を紹介します。
宝石泥棒が仮釈放されて刑務所から出てきたとしよう。その泥棒は改心しておらず、すぐにもとの 悪癖に戻って街じゅうの家に押し入りはじめた。警察は地図に当たることで、泥棒がいたと思われる場所を釈放された瞬間から追跡することができる。
つねに正確な居場所を特定することはできないが、各地区で窃盗事件を起こす確率を示すことはできる。
はじめのうちは刑務所に近い家々がもっとも危険だが、時間とともに危険な地域は広がっていく。
また、以前にどんな品を狙っていたかが分かっているので、高価な宝石を持っている裕福な人たちの住む地区のほうが貧しい地区よりも危険性が高いと、ある程度の自信を持って言うことができる。
街全体にわたるこの一人の男の犯罪の広がりは、確率の波としてとらえることができる。
その波は目で見ることはできないし、現実にも存在せず、街の各地区に割り振られた抽象的な一連の数でしかない。
それと同じように波動関数も、最後に電子が観測された点から広がっていく。それぞれの位置や時間におけるこの波動関数の値を計算すれば、次にその電子が姿を現しそうな位置にそれぞれ確率を割り振ることができる。
ここで、もし警察にたれ込みがあって、この男が肩にバッグを担いで窓から這い出してきたところを現行犯で捕まえられたとしたら、はたしてどうなるだろうか?
街じゅうに広がっていた、泥棒の居場所を表した確率分布は、すぐに決まった一点へ収縮し、それ以外の場所ではゼロになってしまう。
同じように、電子がある決まった場所で検出されたら、その波動関数は瞬時に変化する。検出された瞬間に、それ以外の場所で見つかる確率はゼロになるのだ。
量子力学で生命の謎を解く
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