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「おかえりモネ」ロス

朝ドラ「おかえりモネ」が終わった。いやあ、寂しい。
15分を長期間続ける脚本を書く難しさを毎回感じる朝ドラだけど(むしろいつも尊敬と応援の念)、個人的に今回の「おかえりモネ」は素晴らしいドラマだったと思う。

2011年、東北の震災を思春期に経験した百音と友人たち。故郷の復興とは裏腹に心にそれぞれの傷を負いドラマの収録が始まった2020年までの成長を描いた話。

歴史的人物を描いた訳でもなく大事件も起きないストーリーは、朝の15分に見ている視聴者の中には少々退屈に感じる人もいたかもしれない。
むしろ極めて繊細な心の描写がほとんどで、セリフのないシーンや一言で多くの思いを伝えるシーンなどが多く、役者は大変だったと思うし、それを15分毎に区切って見せることの脚本、演出の難しさは作り手側に立って想像するとゾッとする。

思春期から20代後半までの人の成長と、震災から復興の10年が重ねて描いてあるのも好ましくて、10代から人生を全うする年齢までを強引に1人の役者で突き通すジャンプ感バリバリの朝ドラよりも気持ちよく感情移入ができた。
また「おかえりモネ」というタイトルから、気象予報士を目指す為に上京した百音が再び故郷の気仙沼へ帰ってくる物語だとは思っていたが、震災を期に閉ざしていた心が帰ってくる「おかえり」だったとはなんとも美しいタイトルとコンセプト。

全てが繊細で美しい「おかえりモネ」は朝ドラでなく、2時間超の映画にしたら名作になったんじゃないかと、いや映画で観てみたいとずっと思いながら見ていた。

それにしてもこの難しい役を演じ切った主演の清原果耶さん。若手なのに素晴らしい好演。朝から何度泣かされたことか。終わるのが本当に残念な久々の朝ドラだった。

映画、ないかな。

そして、また秋の宮城に行きたくなった。
※ トップの写真は2014年に訪れた気仙沼の海。

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