秋の金と銀
いつもの朝やけが戻ってきた。
またしばらく晴天が続くようだ。
遥か沖には台風が発生しているが、20号過ぎたら大丈夫だろう。
やっと咲いたよと連絡があり、行きがけに友人宅に寄った。
これで今年も金木犀の香りが嗅げたと安堵していたら、咲かないと思っていた民宿の大きな金木犀が、あたりに甘い香りを飛ばしている。
遠くまで風が運ぶので、芳香に包まれて掃除をした。
むせかえるような強い匂いは、沈丁花、クチナシと日本三大芳香木である。
私はクチナシが好きだが、どれもいい香りだ。
沈丁花は島では見かけない。
花びらを集めたかったが大木で届かず、残念だ。
金と銀の秋の木といえば、金木犀と銀杏である。
「金色のちひさき鳥のかたちして銀杏散るなり夕日の岡に」与謝野晶子
この眩しすぎる歌が高校の実力テストに出て、銀杏の読み仮名の問題があり、ニヤリとしたことを今だに覚えている。
島の銀杏はあるにはあるのだが、黄色くならずに落葉する。
最西にある小学校の校庭に、唯一ギンナンがなる大木がある。
ところが、8月の終わり頃に実ができるので、毎年忘れていて拾いに行けない。
行っても、近所の人に拾われているのだが。
一度だけ、10粒ほど見つけ近くの川に浸して、お弁当を食べたことがある。
帰りには臭みもとれて、つるつるになっていた。
福岡にいる頃は、大分の山辺に大量に売っていたので行楽しながら買いに行った。
懐かしく思い出される。
時たま少しだけ入った市販の袋を買ってみるが、なんとなく味気なくて、茶碗蒸しに入れるぐらいだ。
ペンチで殻にひびを入れる。
時々実まで潰してしまい「あっ!」
炒って、剥くと、鮮やかな緑色の実があらわれる。
「食べすぎるとおなか壊すよ」と言われたり、言ったりしながら熱々を豪快に食べるのがよい。
長寿の木の意味を持つ「公孫樹」とも呼ばれる。
島の秋の味覚、グァバの実。
淡白なのであまり食べる人がいないが私は皮も種もがりがり食べる。
ジュースやジャムに加工する人が多い。
金木犀の残り香で安眠できそうだ。
今日も読んでくださってありがとうございます。
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