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島日記 「雛」
暦の啓蟄には少し早いが昨日畑で、掘り起こした土の中からミミズや小さな虫が顔を出していた。
ミツバチも飛んで、キリギリスの仲間も草の上にいた。
新芽、新緑が萌えはじめ、見渡す景色も少しの間にさま変わりしている。
一足先に、いのち輝く季節の到来だ。
夜の雨が嘘のように、日差しが強くなり、窓に向いて座ると眩しくて、薄地のカーテンでは防げない。
書いているとひな祭りを思い出す。
昔から女の子の持つ人形には関心がなく、弟たちの持っているオモチャのほうに興味をもった。
成長してからは、文楽や人形浄瑠璃の人形、能面などには惹かれた。
雛人形もその類いだから見るのは好きだ。
ひな祭りにちなんで芥川龍之介「雛」を紹介しよう。
いい作品である。
「これは或老女の話である」
から始まり、「箱を出る顔忘れめや雛二対 蕪村」のエピグラフがある。
文明開化の時代、没落し薬屋を営んでいるが、暮れに入用なお金のために、娘の雛人形まで売らねばならない家族の話だ。
人物像がありありと浮かぶのですぐに入り込める。
古いものと新しいものの価値が変わる時代の一風景を垣間見れる。
もうひとつ、泉鏡花の「雛がたり」
初めて読むが、鏡花らしく幻想的な随筆である。
絢爛な言葉が並び最初は戸惑う、最後に「朧月夜」が出てくるので驚いた。
どちらも青空文庫から。
よい作品なのでご一読を。
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雛で思い出したのは「雛罌粟(コクリコ)」
与謝野晶子の短歌に、
「ああ皐月仏蘭西の野は火の色す 君も雛罌粟われも雛罌粟」
難しい漢字なので記憶している。
仏語でコクリコ、英語ではポピー、ひなげしのことである。
虞美人草の名もある。
風に揺れるさまが見たくて種まきしたり、苗も植えたが気候に合わなかった。
今日もお付き合いくださってありがとうございます。
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