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島日記 蝉の抜け殻

また新しい一週間の始まりだ。
窓から逆三日月と明けの明星が見えた。

曜日は関係ない生活をしているが、月曜日は図書室が閉まっているとか、土日は郵便局がとか、番組の予約だとか些細な曜日の特徴がある。
そうだ、ゴミ捨てもあった。
週末の喜びはないが、今日は何曜日というのはなんとなく意識している。

蝉の抜け殻を見つけた。
空蝉と書く。

空蝉は源氏物語の女性の一人。
17歳の源氏は貴族の仲間と雨の夜、恋愛談義をする、いわゆる「雨夜の品定め」だ。
中流階級の女性が魅力的だと聞いた源氏はそういう女性のところに忍んでいく。

無理やり一夜を過ごすが、なかなかこころを許してくれない。
今まで断られることなどなかった源氏は、ムキになり、そのあと何度も試みるが、受け入れてもらえず、後を引くほど自尊心を傷つけられる。
小袿こうちぎだけ残して逃げられたことを蝉の抜け殻にたとえたのだ。

一方、相手の空蝉も揺れ動いているが、夫のある身、身分の違いなどを思い気持ちを封印する。
源氏物語では珍しい展開である。
作者紫式部は、空蝉に我が身を映したといわれているようだ。
現代小説でも通用する筋書きだ。

空蝉は蝉の抜け殻のほかに、この世に現に生きているひとという、うつしみ(現し身)の意味がある。
「うつしおみ」から「うつそみ」、転じて「うつしみ」

さてライバル清少納言は、
「夏は夜」
「秋は夕暮れ」
カラスや雁が帰っていく姿や風の音、虫の声がいとおかしという。
清少納言は感覚派だ。

二人とも千年以上も読まれ続けている。
お互い悪口を言っているのも面白い。
紫式部は和泉式部の悪口も日記に書いている。
千年も読まれるとは思わなかっただろうに。


島が見えると天気が崩れるという
山側は入道雲
サルスベリは元気よく
ムクゲも生き生き
弁当はしばらくお休み


海を見たくて帰りに寄り道をした。
今日の日記は去年の今頃の投稿を一部再掲した。


いつも貴重な時間を付き合ってくださってありがとうございます。




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