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ウコンとターメリック

 雨の日はウコンのひげ切り作業にいく。
雨は関係ないのだが、晴れた日は掘りかたがあるからだ。

掘り上げたウコンの土を、機械で洗い、ひげ切り機にかけ、もう一度洗い、きざみ、乾燥室に入り、粉にする。
薬のウコン誕生である。

私が若い相棒とやるのはそのひげ切りだけ。
片方がコンテナから、ひげ付きウコンをいれる。
オルガン(小学校の教室にある)ぐらいの大きさで、一方にブラシ、かたほうに鋭い刃がついている、ひげを切りながら流れていく機械だ。

もう一人は、「ほら、まだ切れてないよ、急がない、まてまて!」と言う具合に、棒を持って調整するのだ。
かなりの速さで、十個ぐらい流れてくるので目が離せない。

 よそ見ができない、下ばかり見ているから首が痛い、立ちっぱなし、と大変な仕事だが、私は好きだ。

まず、ウコンの香りが脳を刺激して健康になる錯覚がいい。
ガリガリシュシュと音がなんとも心地よい。
ガリガリは癖になるおとだ。
小気味よい。潜んでいるなにかを切り刻む快感がある。

農園のお兄さんと、弟さん、四人が黙々と分担して作業する光景が、なんともいえず、おだやかで長閑《のどか》だ。


お兄さんは乾燥室には誰も入れさせないらしい。
矜持があるのだろう。
可愛い息子が産まれた弟さんは、力仕事担当の働き者だ。

十時と三時はお茶のじかん。
兄弟のお母さん手作りサンドイッチやお菓子がたくさん並ぶ。
黄色コンテナ、(島ではキャリーと呼ぶ)に腰かけて、とりとめのない話をしながら、お茶をのむ。

激しかった雨もやみ、目の前にでーんと構える(島の富士山)裾広がりの山から、雲海のようなもやが消えていく。
その様子を眺めていると、エンドルフィンが出ているのがわかる。
いい島だな。

 ターメリックは島の特産品ではない、ウコンだけだ。
ターメリックは家庭で栽培している程度だろう。私も作っている。

本来同じショウガ科の植物だが、ウコンは春にピンクの花が咲き、ターメリックは秋に白い花を咲かせる。
春ウコン、秋ウコンと呼ばれる所以だ。

ウコンは苦いが、ターメリックは苦くない。
薬と料理に使われる違いだろう。

 もうひとつガジュツというのが、昔からの島の特産品だ。
大きな会社も、神社まである。
私の好きな石塚山のてっぺんの鳥居は、この会社が運んだらしい。
いまは錆びてパワースポットの趣がある。

ウコンとターメリックは黄色。
ガジュツは薄青で、つーんと清冽な色をして、これまた、身体によさそうな香りがする。
これは胃薬として有名だ。

ガジュツの収穫にも行く。
かたまりの時は、うき(海岸に落ちてるあれ)に投げつけてばらす。
親だけを収穫して、他は種用だ。
TVで放映後、一時的に高騰したことがあった。

 農作業は体力勝負だが、気持のよくなる作物ばかりで、ちっとも苦にならない。
バイクに乗れなくなるまでは、しっかり働こう。
現にこの農園は、八十代のかたも元気に作業されている。

働いた後は、だれやめ(島の方言、疲れをいやすため酒を飲むこと)だ。

読んだだけで健康になった気がするでしょう。
島の特産品の話でした。

読んでくださってありがとうございます。
スキしてくれたかた感謝しています。


フォト 洗った子どもウコン。


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