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パンゲアの夜は、全人類が緊張して、早々に眠りに就く。出来るだけ多くの人間が寝静まっているほうが、早く柔らかに終わるという噂を人々は信じていた。 ある国の小さな家で、親子が食器を箱に詰めて、鉢植えを家の中に引き入れ、雨戸を閉めた。リュックを背負うと、もう一度、家の中を見回ってから、玄関の鍵を掛けた。 町中の住民が、広場に集まって来ていて、炊き出しで、温かい味噌汁が振る舞われていた。少しでも人々の緊張をほぐそうという趣向が、ひしひしと伝わって来る。 午後七時、日没と同時