「この手紙」

届くかな
きみのところへ。

届くかな
この手紙が。

夏休みの感想文なんかより
はるかに長いこの手紙。

きっと、誤字も脱字もあるんだよ。
でも、あらすじなんかじゃなく
きちんと自分の感想を書いたよ。

もう夏休みは終わっちゃったから
窓から紙飛行機にして
飛ばしてみたんだ。

重たくて下に落ちた。
植木の中。
たくさんの傷。
届かないね
この手紙。

届かなかったね。
この手紙。

誰かが窓をみあげて
そして、その手紙を手にとった。
ゆっくり流れる時間。
まだ残る夏の日差し。

窓をみあげたきみは
そっとぼくにほほえんだ。

届いたね
この手紙。

でも、ほほえみのわけは
名前の漢字が
間違ってたってさ。

まっ、いいか。
きみのほほえみがみれたなら。