見出し画像

[konekoのおもちゃ箱]コラボ作品ですにゃ🐌🐸🌟-ながぐつのブーとツー-

タイトル:ながぐつのブーとツー

ミミちゃんが大切にしている黄色い長靴。

 名前をブーとツーといいます。

画像1


 ミミちゃんは、雨の日が大好きでした。
だって、大好きなブーとツーと
お出かけできるんですもの。

 その日も朝から雨が降っていたので、
ミミちゃんはブーとツーを履きました。
そして、お母さんに
黄色のレインコートを着せてもらって、
幼稚園バスに乗りました。

画像2


 ブーとツーと一緒に
幼稚園バスに乗ると、ちょっと不思議。
いつもの道が、まるで遊園地の
ゴーカートみたいに、
わくわくするんです。

 幼稚園は山の上にあります。
 バスは、森のよこを通り、
橋を渡って、登り坂を進んでいきます。
 ミミちゃんは、
冒険している気分になって、
景色を眺めました。

 幼稚園に着くと、
ブーとツーは下駄箱に入ります。
 お友達の長靴も、みんな色とりどりです。
 ブーとツーの右には赤い色、
左には水色の長靴がおさまりました。

画像3


 お昼ご飯を食べ終わって
しばらくしたころ、ミミちゃんの
お母さんがクルマでやってきました。
 ミミちゃんには、
まだ小さいチーくんという弟がいます。
そのチーくんが、
熱を出してしまったのです。

 お母さんは、チーくんを
町の病院に連れて行くことにしたので、
おうちが留守になってしまいます。
だから、ミミちゃんを
お迎えに来たのです。

画像4



 ミミちゃんはチーくんが
心配になりました。大慌てで
お母さんのクルマに乗りました。

 クルマが走り出して、
しばらくしてから、ミミちゃんは
気づきました。
 あまりに慌てたものだから、
上靴のままだったのです。

画像5


 ブーとツーを幼稚園に
忘れてきてしまったのです。


 ブーとツーは幼稚園の下駄箱で
ミミちゃんを待っていました。
 でも、ミミちゃんは
迎えにきてくれません。
 下駄箱にいた仲間たちも、
ひとり、またひとりと帰っていきます。

 やがて、ブーとツーだけに
なってしまいました。

 もう、雨は止んで、外は夕焼けです。

「きっと、ミミちゃんは
用事があって帰ったんだ」
「そうだね。きっとそうだ」
「けど、僕たちを忘れて
行っちゃったなんて、
ミミちゃん困るだろうな」

「そうだね。きっと困るね」
「よし、僕はいいことを思いついたぞ」
「それなら、僕もいいこと思いついたぞ」
「自分たちで、ミミちゃんのお家に帰ろう!」

 そうして、ブーとツーはふたりで
幼稚園の下駄箱を飛び出しました。

 ふたりは、かっぽかっぽかっぽかっぽ、
歩いていきます。

画像6


「このあたりは、幼稚園バスで
なんども通ってるから、大丈夫」

 ふたりは、かっぽかっぽかっぽかっぽ、
進んでいきます。

「ほら、あの花畑のそばを通るんだ」

 ふたりは、かっぽかっぽかっぽかっぽ、
山道を降りていきます。

画像7


 すると、右にカーブした遠い先に、
橋が見えました。

「ほら、あの橋だ。朝はあれを渡って来た」
「でも、ずいぶん遠いね」
「そうだね。遠回りだね」
「ねぇ、近道をしよう。
まっすぐこの坂を下りていけば、
きっと近いよ」
「いいね。そうしよう」

 ふたりは、かっぽかっぽかっぽかっぽ、
急な坂を下りていきました。

画像8


「川だ」
「そりゃ、橋があったんだから、
川ぐらいあるさ」
「浅いところを見つけて、渡ろう」

 ふたりは浅瀬を見つけると、
ばっしゃばっしゃばっしゃばっしゃ、
川を渡りました。

「よし、これで近道できたぞ」

 しかし、坂を登っても、
道が見つかりません。
ずっとずっと森が続いています。

「あれ?」
「ひょっとして迷子になっちゃった?」

 ふたりは、道に迷ってしまいました。

 ふたりは、とぼとぼとぼとぼ、
深い森の中を行きました。

「怖いねぇ」
「なんだか、薄暗いねぇ」

 ふたりは、とぼとぼとぼとぼ、
森の中を行きました。すると。

「やぁ、なんだ。
そこにいるのはブーとツーじゃないか」

 草の葉っぱの上から、声がしました。
そこにいるのはカタツムリでした。

画像9


「やあ、カタツムリさん。こんにちは」
「こんにちは。今日はミミちゃんは
一緒じゃないのかい?」

「うん。僕たち、ミミちゃんの
お家に帰るところなんだ」
ブーが言いました。

「だけど、道がわからなくなってしまって」
ツーが言いました。

「そうなんだ。このまま坂をまっすぐ
下りて行くと、けもの道があるからね。
ミミちゃんの家は、そっちの方向だよ」
 親切なカタツムリさんは
道を教えてくれました。

「ありがとう。カタツムリさん」
「ありがとう。カタツムリさん」


 ふたりは、かっぽかっぽかっぽかっぽ、
坂道を下りていきました。

 そうすると、けもの道が見つかりました。

「これがカタツムリさんが言ってた、
けもの道だね」
「でもどっちへ行ったらいいのかな?」

 ふたりは、困って立ち止まっていました。
すると。

「やぁ、なんだ。
そこにいるのはブーとツーじゃないか」

 草の根元から、声がしました。
そこにいるのはカエルでした。

画像10


「やあ、カエルさん。こんにちは」

「こんにちは。今日はミミちゃんは
一緒じゃないのかい?」

「うん。僕たち、ミミちゃんのお家に
帰るところなんだ」
ブーが言いました。

「だけど、道がわからなくなってしまって」
 ツーが言いました。

「そうなんだ。このけもの道を
右へ行ってごらん。しばらく進むと
池があるからね。ミミちゃんの家は、
そっちの方向だよ」
親切なカエルさんは
道を教えてくれました。

「ありがとう。カエルさん」
「ありがとう。カエルさん」


 ふたりは、かっぽかっぽかっぽかっぽ、
けもの道を進んでいきました。

 そうすると、池がありました。

「これがカエルさんが言ってた池だね」
「まだミミちゃんのお家は見えないね」

 ふたりは、困って立ち止まっていました。
すると。

「やぁ、なんだ。
そこにいるのはブーとツーじゃないか」

 池の淵から、声がしました。
そこにいるのはサワガニでした。

画像11


「やあ、サワガニさん。こんにちは」

「こんにちは。今日はミミちゃんは
一緒じゃないのかい?」

「うん。僕たち、ミミちゃんのお家に
帰るところなんだ」
ブーが言いました。

「だけど、道がわからなくなってしまって」
 ツーが言いました。

「そうなんだ。池の向こうに
野原が見えるでしょ。まんなかの大きな木に
向かって進んでごらん。ミミちゃんの家は、
そっちの方向だよ」
 親切なサワガニさんは
道を教えてくれました。

「ありがとう。サワガニさん」
「ありがとう。サワガニさん」

 ふたりは、かっぽかっぽかっぽかっぽ、
野原を進んでいきました。

 野原のまんなかに大きな木がありました。

「これがサワガニさんが言ってた
大きな木だね」
「まだミミちゃんのお家は見えないね」

 ふたりは、困って立ち止まっていました。
すると。

「やぁ、なんだ。
そこにいるのはブーとツーじゃないか」

 木のてっぺんから、声がしました。
そこにいるのはツバメでした。

画像12


「やあ、ツバメさん。こんにちは」

「こんにちは。今日はミミちゃんは
一緒じゃないのかい?」

「うん。僕たち、ミミちゃんのお家に
帰るところなんだ」
 ブーが言いました。

「だけど、道がわからなくなってしまって」
 ツーが言いました。

「そうなんだ。野原の出口を教えてあげる。
僕が飛んだ方向に進むといい。
ミミちゃんの家は、そっちの方向だよ」

 親切なツバメさんはふたりの上を
くるっと回って、野原の出口のほうへ
飛んでゆきました。

「ありがとう。ツバメさん」
「ありがとう。ツバメさん」

 ふたりは、かっぽかっぽかっぽかっぽ、
野原を進んでいきました。

 野原の出口まで着いたとき、
お日様はだいぶ傾いて、
薄暗くなってきました。

「あ、あの屋根、
ミミちゃんのお家の屋根だ!」
「本当だ! あれは、
ミミちゃんのお家の屋根だ!」

 ふたりは嬉しくなって、
かぽかぽかぽかぽ、
かぽかぽかぽかぽ走りました。

画像13

ミミちゃんのお家では、
もうすぐ晩ご飯の時間です。

 弟のチーくんはお医者さんに
診てもらったので、熱はすっかり
下がって元気になりました。

 でもミミちゃんは
なんだか元気がありません。
 大好きなブーとツーを、
幼稚園に忘れて来てしまったからです。

画像14


「きっとブーとツーは、
誰もいない幼稚園で寂しく
待っているんだろうな」

 そう思うと、ミミちゃんは
悲しくて悲しくて泣きそうでした。
 お母さんが用意してくれた
温かいスープも、飲めそうにありません。


 ブーとツーは、ようやく
ミミちゃんのお家にたどり着きました。

画像15


「やっと、ミミちゃんのお家に着いたね」
「うん、やっと、
僕たちのお家に帰って来たね」

 ふたりは嬉しくなって、
ぽっこぽっこぽっこぽっこ、
飛び跳ねました。

「でもどうやってお家に入ろうか」

 ふたりは、困ってしまいました。
すると。

「やぁ、なんだ。
そこにいるのはブーとツーじゃないか」

 お家の屋根から、声がしました。
そこにいるのはフクロウでした。

画像16


「やぁ、フクロウさん。こんにちは」

「ほほほ。もう、こんばんわじゃよ。
ふたりだけでどうしたんだい。
ミミちゃんはお家の中にいるよ」

「僕たち、幼稚園から帰って来たんだ」
 ブーが言いました。
「でも、中に入れなくて」
 ツーが言いました。

「ほほほ。そうかそうか。
では、わたしがミミちゃんを
呼んであげよう」

 そう言うと親切なフクロウは羽を広げ、
ふたりの前に降りました。
そして小石を掴むとふたたび舞い上がり、
窓に向かってその小石を投げました。


 こちん

 テーブルに料理が並んだころ、
窓から小さな音がしました。

 こちん

「ねぇ、お父さん、窓から音がしない?」

 ミミちゃんは尋ねましたが、
お父さんは気づいていないようでした。

 こちん

「ほら、やっぱり音がする。
わたしちょっと見てくるね」

 そう言ってミミちゃんは席を立ち、
窓のカーテンを開けました。すると。

 そこにいたのは、ブーとツーでした。

画像17


「ブーとツー!」

 ミミちゃんは驚きました。

「お母さん! ブーとツーが帰って来た!」

 ミミちゃんは裸足のまま玄関を飛び出し、
ブーとツーを抱きしめました。

「自分たちで帰って来たんだね。
すごいね。よく帰って来てくれたね。
忘れたりしてごめんね。でも、
帰って来てくれて本当に嬉しい!」

画像18


 大好きなミミちゃんに抱きしめてもらって、
ブーとツーはとっても嬉しくなりました。

 ブーとツーはその夜、
ミミちゃんのお家の下駄箱で眠りました。
 たくさんの仲間たちに囲まれて、
それはそれは幸せな夜でした。

画像19


おわり


画像20

〇〇〇

こちらの作品は城戸圭一郎さん作品
娯楽ないみさん作品のコラボと
にゃっています\(^o^)/

編集はkonekoが担当させて
頂きましたにゃ(。ᵕᴗᵕ。)

動画とかにもしたいにゃー✨
英訳もしたいにゃーーー🐦

頑張ったらチョコほちーにゃ🍫
(*'▽')

が広がりますにゃー
(*・ω・*)wkwk

貴方に見守って貰えて
感謝ですにゃん🎶

良ければこれからも
応援のほど、宜しく
お願いしますにゃm(_ _)m


本日も最後までお読み頂き
有難うございます♪🐈

この記事が参加している募集

おうち時間を工夫で楽しく

日常と非日常を放浪し、その節々で見つけた一場面や思いをお伝えします♪♪ そんな旅するkonekoを支えて貰えたなら幸せです🌈🐈 闇深ければ、光もまた強し!がモットーです〇