人魚さんのカラコン🧜‍♀👁‍🗨

海の上を独り
浮遊していた

何度目かの世界線だろうか

相変わらず、幾多の夢を
駆け巡って、今ここにいる

そんな気がする

最近の夢は

ゾンビに追いかけられたり
怨霊に呪われそうだったり
地下施設に籠もっていたり

ほんと、ろくにゃ夢を
見てこなかったにゃー

にゃんて夢の中で
ここ最近見た夢を
暢気に回想してた

それにしても小さな筏だにゃー
少し大きめの波が来たら
あっという間に飲み込まれそうにゃ

とか思いつつも自分の乗る
筏の上で日向ぼっこを楽しんでいた

のんびり右手の甲をペロペロ舐めて
晴天の空のもと優雅に
毛づくろいをする

確か、昨日の晩は
人魚が描きたいと
思いながら寝たにゃ

折角だから人魚でも
現れてくれたら良いのに

デッサンしたら
綺麗にゃ絵が
描けるかもにゃ

でも、私は
そんにゃに画力
にゃいしにゃー

現実世界と同じように
クルクルと夢の中でも
思考を巡らしている私

何を考えてるの？と尋ねられても
同時に様々にゃ事に想いを巡らすから

相手が求める1つの答えを言えずに
「色々」と答えるのだけれど

[何を考えてるか分からないよね]
とか言われるので、諦めて最近は
「にゃー」と鳴くように
している

夢の中で、そんな現実世界の場面を
のほほんと思い出していた

そんにゃ時に、
ちゃぷん、と近くで
水の弾ける音がした

サメとかだったら
どうしよう！

と一瞬焦ったのだけど

感じる波動がそんなに
恐ろしいものではにゃいので

大丈夫かにゃー

と変わらずのんびり
構えていた

そしたら！！

金色と茶色の入り混じった
長い髪を濡らした人魚が
突然私の目の前に現れた

左目には黒い瞳
右目には青い瞳

ほへー(~o~)
綺麗にゃー

と見とれていたら

ねぇ、ちょっと
私のカラコン知らない？

と急に声をかけられた

人魚さんが日本語を話してるのにも
驚きつつ、それ以上に私に向かって
フランクに話しかけてることにも
驚愕していた

とは言え、困ってそうなので
ひとまず筏の周りをぴちゃぴちゃと
撫で回した

毛づくろいをしたばかりの手に
塩分たっぷりの水が滲みてきて
少し気持ち悪かったけど

それより、お手伝いしたかったので
ぴちゃぴちゃと海面をなぞっていたら

プカプカと浮かぶ
青くて丸い小さな円を
見つけた

にゃ！

と思わず叫んだが
私の小さな手では届かないので

人魚さんに

あそこににゃんか、あるにゃ！

と伝えた。

どこどこ？

と言いながら
人魚さんはゆらゆらと
鱗のついた尾を揺らして

私の肉球が指差す方向に泳ぎ
そして

あった！！これよ！
ありがとうね！！

と言って満面の笑顔で
その小さな円を両手で
掬い上げていた

彼女の手には水かきが
ついているのだけれど、

その水かきは皮膚の一部が変化した
ようなもので、手本来の形状は
人間のものとさして変わらなかった

ただ、水かきがある分
人間の手よりは、ほんの少し
分厚目に構成されていて

肌艶の良い、その手の上には
真珠のような海の雫が
コロコロと転がっていた

相変わらず

綺麗だにゃー

と見とれていると

両の目が青色になった人魚さんが
私の筏に近づいてきた

両手を筏の端にそっと添えて
ニコニコと笑顔を振りまいてくれる

嬉しくて私も自然に
笑顔が溢れる

暫くすると、人魚さんが
話し始めた

私の髪の毛ってさー
基本的には茶髪なんだけどー
ちょっと金色も入っちゃってるの

それなのに、瞳の色が黒色でさー
ちょっとアンバランスなのよねー

人間界ではさー
ブロンドヘアーには青色の瞳が
セットじゃない？

だから、こうして陸に遊びに来る時は
人間界でも受け入れて貰えるように
青色のカラコンを入れてるのよ○

イルゾンが届けるの早いから
ホント助かるわー

一気にお話して貰ったので
私は目をパチクリパチクリと
させていた

わざわざ人間界のファッションを
研究してくれている事に感動しつつ

そのままでも十分に
綺麗にゃのににゃー

と思いつつ

イルゾンとはにゃにか？

と疑問を思い浮かべていた

そんな私を横目に彼女は
更に話を続けた

それなのにさー
このカラコン、すぐ外れるのよ！

ほら、私達って
水の中で泳ぐじゃない？

そうすると、どーしても
水流で流されちゃうのよー

一応カラコンケースもあるんだけど
いちいち取り出すのも面倒くさくてねー

困ったわぁ

そう言いながら、花びらのような
形をした胸当ての隙間から
すっと可愛らしい貝殻のケースを
出して見せてくれた

可愛いですにゃん♪

と、やっとこさ声を発せられた
私の様子をにこやかに
見てくれる人魚さん

だが次の瞬間、彼女は少し
寂しげな表情を
見せてきた

心配になった私は思わず

どうかしましたにゃ？

と質問をしてみた

彼女は上目遣いに私を
見上げつつ

ねぇ、あんた
私のスタイル
どう思う？

とたどたどしく尋ねてきた

え？綺麗だと思いますにゃ！
さっきからずっと
そう思ってますにゃ🌸

カラコン姿も元々の姿も
どっちも綺麗てすにゃ⭐

私はお世辞は言わにゃい

本当に思うから
そう言っている

実際にさっきから
何度も彼女の姿を
美しいと感じている

彼女は私の瞳の奥を
ぐーっと見入るように
見つめてきた

私は少し恥ずかしかったけど
その視線をゆっくりと受け入れた

私の心が覗きたいにゃら
そうしてくれて構わないと
思ったから

彼女は私が本心から
言っていることを信じてくれたのか

ふふふ

と笑い声を上げてくれた

人間界にもさー人魚の事を
知ってくれてる人って
結構いるんでしょ？

でもさー、人間界で描かれてる人魚って
やたらウエストがほっそいのよぉ

この前たまたま浮かんでいた
雑誌に私達の似姿が
描かれてるものがあって

興味本位で家に持ち帰って見てみたら
あんまりに細く描かれてるものだから
私、びっくりしちゃったわ！

あんな細いウエストで
こんな激しい荒波を
泳げるわけないじゃない！！

確かに彼女の二の腕や腰回りは
二次元の作品で描かれるほど
細くはない

しかし、筋肉が程よくついていて
光り輝くばかりの美しい肌があって
正しく健康美といった印象を受ける

私は彼女の身体を
やんわりと眺めつつ

彼女の意見に同意を示すために
首を縦に2回ふった

彼女は気を良くしたのか
もう少し話を続けてくれた

ホントは私も、あれくらい
細くなりたいのだけどね。。

それでダイエット？って
言うのかしら？

人間界で流行ってる
食事制限みたいなのも
挑戦しようとしたのだけど
やっぱり難しくてねぇ

悩ましげに話す彼女に対し
私は今度は首を横に
2度フルフルとふった

人魚さんは十分に綺麗ですので
変にゃことしにゃくて
良いですにゃん🌈

変にダイエットされて
栄養失調ににゃったら
困りますにゃっ🎈

彼女はクスクスと控えめに笑いつつ
海面の下で揺らしていた尾びれを
少しだけ海面からあげて

2度パシャパシャと
波音を立ててくれた

それもそうね！
あんたの言うとおりかも♪

なんか、人間界に来たはずなのに
変な筏を見つけて結局
小さい猫とお喋りしちゃったわっ

でも、楽しかったから
良しとしてあげる☆

また機会があれば
遊びましょ！
じゃねー

彼女はそう言うと
笑顔で私に手を振り
そのまま海の中に姿を
消していった

私も楽しかったですにゃ！
有難うございますにゃ⭐

届いていると信じて
彼女にご挨拶をして
空を見上げた

太陽の光が一際強くなり
その光に包まれて
目が覚めた

リアルだ。。。

冬用に先日、棚から
引っ張り出してきた
モフモフの布団に包まれて

その柔らかさに癒やされて
暫くゴロゴロと満足げに
喉の奥を鳴らしつつ
寝返りを打っていた

そんな朝でしたにゃ☀

そう言えば、イルゾンって
もしかして、アマゾンの海ver.で

運んでくれてるのがイルカさん
にゃのかしら？

と閃いたのは
お昼ご飯を食べて
お昼寝する前でしたにゃ🐈