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旅の夢から醒める

旅から帰って一ヶ月、机の上に並べていた旅先の博物館や町のパンフレットを捨てた。
どれも上等な紙に綺麗に印刷されていて、持ち帰った時は旅の記憶とともに永遠に留めておこうと思っていたのに。
旅の熱狂とときめきは一時的なもので、やがて忘れてしまう。
それでも以前の旅でなにか煌めきを見た記憶だけがあって、また旅に出る。
旅の恥はかき捨て、なんて言葉を聞いたことがあるけれど、この気ままさと、責任を手放して自由に体験を得られる気軽さは、なんだかお菓子のよう。

こんな旅人の姿を想像するから、わたしは自分の街を通りすぎる観光客を好きになれないのかもしれない。

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