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2023/2/28 生活は続く

 二月末、有給を挟んだ四連休に帰省した。
 今回の目的は、東京都現代美術館で開催されている回顧展「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」

 会場内は撮影OKだということもあり、展示物の写真はSNSで何度か見た覚えがある。それでも実際に美しいドレスを前にすると、体が震えた。感動して泣きそうだとはしゃぐ女の子たちにも同意した。
 立ち止まったり別の角度から見たり、じっくりと時間をかけたつもりだったけれど、もっと長居してもよかったかもしれない(良識の範囲内だとしても、写真を撮りたい人の邪魔にならないか心配になってしまった)
 興味がある方はぜひチケットを予約してほしい。

 昨日からまた元通りの生活が始まった。
 お土産の焼き菓子を配って、連休の過ごし方を聞かれて答える。美術館は高尚な趣味だと笑われた。
 仕方ないと気持ちを切り替えてキーボードを叩く。価値観は人それぞれだ。でも、これから何を目標に頑張ればいいのだろうか。
 久しぶりに食べる実家のごはんが美味しかった。会社でのキャラクターを脱ぎ捨てて、自然に振る舞えるのが嬉しかった。冗談めかして「帰りたくないな」と言ってしまう程に。
 そう、寂しいのだ。利便性も高くて、知り合いや友達の多い土地での生活が恋しかった。
 これは一時的なホームシックから由来するもので、時間が経てば解決することは理解している。いっそ何も考えられないように忙殺されたかった。
 そんな願いも空しく仕事は穏やかで、午後からの陽気にまどろみそうになる。視界の端にあるオフィスの扉が、どこでもドアと重なって見えた。

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