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罪悪感のない冷やし中華

 何をしてもうまくいかなかった。
 思い込みと小さなミスが新たなミスを呼び、パソコンの前でパニックになりながらキーボードを叩き、先輩から「前から思ってたんだけど……」と爆弾を投下され、後で読むつもりの文庫本をデスクに置いたまま電車に乗ってしまった。
 本当に何をしても上手くいかなった。及第点にも届かない。
 こういう日は定食屋のメニュー選びも失敗してしまいがちなので、大人しくスーパーに寄って帰った。
 全てが嫌になって消えてしまいたい夜でもお腹は空く。

 病院の待合室のテレビで見た、サラダのような冷やし中華が食べたい。
 罪悪感のない冷やし中華だ。と、誰かが言っていた。健康診断のために前夜から絶食でとにかくお腹が空いていたから、二週間が経った今でも印象に残っている。
 テレビではしょうゆベースのごまだれを作っていたけれど、今回は生麺に添付のごまだれを使った。
 粒マスタードを入れるワンポイントは拝借したけれど、ベビーリーフの代わりにカットレタスを、ささみを茹でてほぐす手間はサラダチキンに任せた。彩り要員にミニトマトも乗せてみた。
 甘めのごまだれに粒マスタードの主張しすぎない辛さと風味が合い、具材のおかげか食べ応えもあった。
 これはこれで美味しかったけれど、元気になったらレシピ通りに希釈タイプのごまだれから作ってみよう。ベビーリーフをどっさり盛って、きゅうりとチャーシューも一緒に。

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