掌編小説「ロールキャベツと入刀記念日」
未知のウイルスはわたしたち夫婦の生活を変えた。
わたしの自宅勤務はしばらく続きそうだし、宗一郎さんは来週から時差出勤だ。変わったのは働き方だけではなくて、お気に入りのバルを始め、近所の飲食店は休業を余儀なくされた。こればかりは仕方ない。
日々の自炊は(時々手抜きはするけど)苦ではないし、宗一郎さんとの晩酌も楽しみだ。それでも外食には新たな発見もある。
巻かないロールキャベツを教えてくれたのも、例のバルだった。
雪が降りそうなほどに、うんと寒い日だった。
深皿で出