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日記

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2022年6月の記事一覧

初めてのアンティーク着物が愛おしい

 先月、外出先でアンティーク着物をお迎えした。  着物の他にも骨董、生活雑貨、アクセサリーなど様々に扱っているリサイクルとアンティークのお店で、数年前にふらりと立ち寄ってから何度か訪れている。良心的な価格帯や押し売りのない接客、Instagramに投稿されるコーデも私好みだ。  その日は以前お迎えした着物と帯の里帰りコーデだったから、折角なら顔を出したかった。あとは流し見程度の軽い気持ちで、だ。 「着物一枚に帯三本」という言葉はあるけれど、ついついワンピース感覚で選んでしまっ

罪悪感のない冷やし中華

 何をしてもうまくいかなかった。  思い込みと小さなミスが新たなミスを呼び、パソコンの前でパニックになりながらキーボードを叩き、先輩から「前から思ってたんだけど……」と爆弾を投下され、後で読むつもりの文庫本をデスクに置いたまま電車に乗ってしまった。  本当に何をしても上手くいかなった。及第点にも届かない。  こういう日は定食屋のメニュー選びも失敗してしまいがちなので、大人しくスーパーに寄って帰った。  全てが嫌になって消えてしまいたい夜でもお腹は空く。  病院の待合室のテレ

こだまにて

 浮き立つ金曜日。いつもよりも不自然に膨らんだリュックを背負って新幹線に乗る。職場には他人の行動を話の種にする人が多いせいか、堂々とキャリーバッグを引けずにいる(結婚もせずに遊んでる~、みたいなやつだ)。  名古屋からこだまに乗り換えて、三人がけの自由席に座った。背もたれは倒せなかった。  終点の東京までなら何も気にせずに眠れるけれど、今日は三島で降りる。目的地はその先だ。寝過ごして小田原だったらどうしようかと不安になる。  案の定眠りこけて、慌ててスマホで時間を確認した。ま

首の話

 首が苦手だ。解雇ではなく、肉体の方。  きっかけはわからない。ずっと昔から首に触れられるのが苦手だった。もぞもぞ? ぞわぞわ? とにかく居心地の悪さのような感覚がして気が気でない。  健康診断の首の触診なんて石のように固まってしまう。先生、力の抜き方がわかりません。  私を猫のように扱う友人から、顎の下から首にかけて撫でられたこともあった。あれは地獄だった。風の噂で結婚したと聞いて少し安心した。  首が詰まる服装もあまり好きではない。制服のブラウスは第一ボタンまで留めると落