見出し画像

第五話「鼎の軽重を問う」

僕が大切にしていることの一つに
「誠実であれ」と言う言葉がある。

これは他の人対して誠実ということだけでなく、
自分の心に対しても
「誠実であれ」と言うことであり、
寧ろ後者が大切なのだが、
前者を含めて最近感じることがあった。

約束をしていて、
「ドタキャン」する理由なのである。

業務だから、急な仕事が入ったから、
と安易に仕事を理由にする人が
増えているように思える。

即ち、社業であればそれが優先されると
思い込んでいるのではないか?
そして、いつのまにか、
社会の常識から外れた非常識な会社人間に
なってしまっているのではないだろうか、
ということである。

もし、こんな人が上司になったら、たまらない。
そして、もっと悪いことに、
その上司は、自分を改革的などと
思っていたら迷惑千万、
働き方改革などと言う資格はない。

私の友人で「イクボス」の提案者であり
働き方改革の騎手でもある川島くんとは、
ゴルフを定期的にするのであるが、
二人して感じるのは、
もちろん例外はあるのだけれど、
私たちの古巣の”物産”の社員とは、
約束をし難いということである。

それは、社内の都合を理由にして、
安易にドタキャンをするから、
ゴルフのメンバーに
誘い難くなっているのである。

また、私は昔から絵が下手で、
それでも絵を学びたいと思っているのであるが、
ある方に是非「絵」を教えて欲しいと頼んで、
その先生からご快諾を頂き、
一所懸命教えてくださるのであれば、
その時間をとても大切にし、優先するのである。
 
 仕事を理由に約束を違える人は、
家族よりも、友人よりも、
そして結局は取引先のお客様よりも、
社内の都合を優先する。
それが悪いこととか、
自分の信用を失っているということに
気づかなくなってきているのであろう。

もちろん、私も宮仕えであった身、
家族に甘えて許しを乞うて、
仕事を優先したことは多々あったが、
それでも社内の都合よりは、
社外の人、社会の人との約束を優先して、
大切にしてきたと思う。
その結果、社内で誤解を生むことも
あったと思う。

会社を辞めて屋久島に住むことを決めた時に、
心の奥底では世捨て人の様な気持ちでもあった。

ところが、不思議なことに、少しずつであるが、
そして結果として、多くの人達からお話を頂き
アドバイザーや顧問・相談役、
大学院での教授などの仕事を
させて頂くことになった。

社内より、社外の人の方が、バイアスがかからず
冷静にみてくれていたのと共に
縁の大切さを深く感じたのである。

縁とは信義の積み重ね、
もしくは、僕にはほとんどないだろうが
徳の積み重ねなのだろう。

さて、本題に戻ろう。
1日の大半を会社で過ごすため、
会社が全ての基準となっていないだろうか?

自分という個人の価値や自分の大切な時間を、
安易に会社や組織に受け渡す癖が
ついてないだろうか?
そして、結果として社会からの
信用を失っていないだろうか?

勿論、仕事を疎かにするべしと
言っているのでは無い。

しかし、約束を守るために
自分の時間を調整し、
仕事を頑張って早めに終えたり、
夜中や翌朝早く来て行うなどの
努力をしたのだろうか?

屋久島にいると大会社の論理は、通用しない。
そもそも、急な用事というのは、
台風だったり、事故だったり、
家族のためだったり、
誰もが納得する理由である。

また、海外の知人と付き合う中では、
やはり信義を何より大切にするのだ。
 
要は、誠実であれ、
自分の生き方に対して誠実に
生きているかということを
問われているのである。


森の黒ひげ塾
塾長 早川 典重


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?