ふわふわ

 ウチのクラスには不破さんが二人いた。
 一人は魔の山から来ていて、もう一人は、地獄の門番の娘だった。
 二人そろってふわふわというわけだ。

  仲は良い。
 例えば同じ人を好きになっても、二人でずっとその人を好きでいようねというようなことをいつも言っている。
 でも一か月もすると、その意中の男らしき人物の消息は不明になった。

 なぜ二人はこんなに仲が良いのか。

 出会ってまだ3か月。それまでだって接点はないだろう。(魔の山と地獄の門の距離は、エベレストと桂川イオンほど離れている)。


 だからみんな不思議で、色々な憶測や考察が飛び交った。
 中でも面白いと思った説は、一人はペプシコーラが好きで、一人はドクターペッパーが好きだからというものだ。
 この人が言うには、これで一人がコカ・コーラ好きだった場合、いずれ関係が壊れるだろう推測している。

「平行な線の片方が0.001ミリずれるように」

 そんな話を聞くと、人間関係というものは危ういバランスの上に成り立っているのかも知れないななんて思ってしまう。

 とにかくその話を信じて、今日も僕は不破さんの一人にせっせとコカ・コーラを持っていく。
 

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