小説の逆刷り込み

 小説を書き上げた直後、それが途轍もなく面白いと思うことがある。だが数日経って見るとどこが面白いのか、なんであんなに興奮したのか訳が分からない。はずかしい。そんなことはないだろうか。

 私はこの現象を小説の逆刷り込みと名付けた。
 言うまでもなく、ヒナが初めて目にした生き物を親だと思うのが刷り込みである。

 小説の逆刷り込みは、生み出された小説(ヒナ)を見た最初の生き物(大抵は作者)は、その作品を必ず面白いと思う現象である。

 この法則をうまく利用すれば、簡単に文学賞を取れるのではないか。
 つまり作者は書いたあと、まったく読まない。読み返しもしない。そのまますぐにメールや郵送で賞に送ってしまうのである。


 いきなり最終審査になる文学賞はないものか。

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