アルプス一万尺

お久しぶりです。森です。

なんだかんだひと月前に記事を更新したきり。樹海に迷い込んだとかではありません。穏やかな日々を過ごしています。

アルプス一万尺 こやりの上で

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さて、急に何を歌い出すんだという形ですが、『アルプス一万尺』を歌いながら、手遊びしたことあるかたー!見たことあるかたー!多分、どちらもないよって方は少ないんじゃないかと思います。

どれだけ早くやれるかを競って、最速でできるコンビが幼稚園で勇者のように讃えられていたのは懐かしい思い出です。

偶々Twitterでアルプス一万尺は歌詞が29番まであると話題になってるのを見て、森が知ってる歌詞は3つだな、と思い至ったのでそよそよしてみたのです。

まず、私が知ってる3つの歌詞

「アルプス一万尺 こやりの上で アルペン踊りを さぁ踊りましょう」

「昨日見た夢 でっかいちっちゃい夢だよ 『のみ』がリュック背負って 富士登山」

「一万尺に テントを張れば 星のランプに 手が届く」

個人的な思い出としては、1番の歌詞「小やり」を「小やぎ」と思っていて、大胆に動物虐めるなと思ってたこと。大胆だったのは森が木くらいだった頃、幼い頃の私の方ですね。

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小やりとは槍ヶ岳の山頂(標高3180m)付近にある岩のことで、遠巻きに見ると平に見えるけれど、結構厳しいらしく、ロッククライミングの技術を持ってしても、登るのは不可能とされている岩だそうです。

つまるところ、小やりだろうと、小やぎだろうとその上で踊ることはできないということです。

2番目の歌詞「のみがリュック背負って」ところ「蟻」と歌ってる子がいたのを覚えているのですが、こちら蟻で歌ってた方、居ますかね?

あとは、のみが背負うリュックの大きさがのみサイズの小さなものなのか、体よりも大きいものなのか想像してゲラゲラ笑ったものです。

なんてったって、うれしいひなまつりの歌の替え歌をして「炎をつけましょ 爆弾に おはなをあげましょう ぶつだんに 五人囃子は逃げてった 今日はたのしいひな祭り」と歌っていたやつです。本当に発想が物騒

そんな木だった森も、ロマンチック。3番の歌詞が特にお気に入りで、星あかりのことを「星のランプ」と表現していることがとっても好きでした。それに手が届くなんて。どんなに美しい星空なんでしょうか。

あるいは星に手を伸ばして掴んで、それをランタンに入れてしまうのかしら、どんな色をしているのかしら、とわくわくしたものです。

昔行った伊豆諸島の星が綺麗な島とされる神津島。あの島の星は降ってくるような美しさでした。普段、街や月の光が強すぎて、見えていないだけで夜空にはたくさんの星があるのです。

星は携帯で取れなかったので、代わりに美しい島の海の写真でも。タコやウツボが居て、本当にどこまでも青く、そして透明な海でした。

北海道の積丹半島のシャコタンブルーとはまた違う、美しい青でした。

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とっても綺麗でしょう!iPhoneレベルでこんなに綺麗に撮れるのだから、プロが撮ったら凄まじい絵が撮れるはず。

せっかくなので神津島の観光案内を載せておきましょう。

東京なのに東京ではないみたいな。異国に来たかのような。自然豊かな島々のひとつです。島まるごとプラネタリウムとうたってますが、生の星はもうプラネタリウムなんて言ってられません!満点の星空見たい人は懐中電灯を持っていって夜のお散歩してきてください。最高ですから!

神津島や伊豆諸島を知らない?

ポケモン知ってる人にむけて、ゲームではナナシマ、アニメだと小笠原諸島方面まで含めてオレンジ諸島のモデルだと予想されます…とそよそよ囁き。ラプラス乗ったり(名曲)、スケッチしたり、面白かったですよね。そして、ライバルバトルが熱かった!(ポケモンについてはまた別途まとめましょうか)

そもそもアルプス一万尺って何!?

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さて、「アルプス一万尺」の話に戻りましょう。

そもそも、本当に29番まであるの?アルプス一万尺って誰が作詞作曲?と気になりまして、ちょっと調べてみたのです。

なんとなーく、成立のルーツを調べる前に仮説を立ててみようと考えたところ…「蛍の光」を思い出したのです。聞くと帰る時間だと感じる切ないあの曲。あれはスコットランド民謡です。アルプス一万尺もそんな他国の民謡では、と。

蛍の光の元となった民謡はイギリスでは乾杯の時に歌う明るいイメージの曲で、パブでもよく聞くそうな。でも、日本人はあれを聞くとそろそろ閉店だなと帰ってしまう。日本人はあの曲は嫌いなのか?とイギリス人は不思議がるそうですね。

そして、結論。アルプス一万尺はアメリカ民謡、かつ独立戦争の際に愛国歌として歌われたものだそうです。踊ってる場合ではない!

そもそもの起源がわからないそうですが、原曲の題は「ヤンキードゥードゥル」。元々田舎もんのやつらが格好つけてて愚かだみたいな揶揄の曲だったそうです。

ざっくりとアメリカの始まりの歴史を。

そもそもアメリカという国はイギリスがアメリカで植民地を作り、イギリスからの移民たちがせっせと開拓をしてできたのです。

税金もイギリスの法律に則って。しかし、アメリカに住むイギリス人たちからは議員をイギリス本土の議会に参加できるように選出することは出来ない。つまり、自分たちのことを自分たちの代表者なしに決められてしまう。「同じイギリス人なのに!」とアメリカに住む人々は不満を募らせていきます。

そう、最初は皆、自分はイギリス人だという意識です。最初からアメリカ人がいたわけじゃないのです。

一方、イギリスは植民地アメリカをフランスなど他国から奪われないように戦争して、防衛しての日々。ですが、戦うのはお金が要ります。(いわゆる第二次英仏百年戦争。アメリカ、インド、ヨーロッパとあらゆる場所で100年ほど殴り合います。ちなみに第一次の方は皆知ってるジャンヌダルクが登場する方。ま、フランスの救国の美女がイギリスの捕虜になったときにフランスは無視して助けなかったし、ナポレオンが素晴らしいと利用して、宣伝するまで歴史上から忘れられてたのです。イギリスの方が彼女への罪悪感を募らせていたそうな。そういうところでフランス嫌い。イギリスの3枚舌ばかり話題になりますが、フランスもフランスです。というイギリス史を勉強していた森の愚痴。)

閑話休題。イギリスがアメリカを守るための資金調達はどうしたのか?

我々イギリスはアメリカを守るためにお金が必要なのだから、とアメリカの人々の生活生活必需品に対してバンバン課税をしていく。

そして、紅茶にも課税をかけられる。当時紅茶はビタミンを取るのにとても重宝されており、砂糖を入れて飲めばカロリーも取れる。なので、当時の庶民にとっての紅茶=現代のインゼリー・カロリーメイトみたいなものだったのです。忙しい人の味方だったわけです。

なのにそれに重たい税金が載せられ、価格が高騰する。飲んどる場合かーッ!!!やってられん!俺たちを守るため?ふざけてんのか!?

ボストンでイギリス東インド会社がアメリカで高く売り捌くために船で運んできた紅茶の木箱。それを海に投げ入れる事件勃発。いわゆる「ボストン茶会事件」「ボストンティーパーティー」と言われる歴史的な事件。海をティーポットに見立てて、茶葉をどばどば…ということで名前がつけられたそうな。

これがきっかけに今まで、私たちだってイギリス本土にいるイギリス人と同じなのに!という感情から、私たちは私たちだ!奴らとは違うという感情に変わり、ここでアメリカはイギリスから独立するんだ!ということになっていきます。

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独立の立役者の一人、ジョージ・ワシントン。アメリカ最初の大統領になった人。

よく勘違いされますが、「人民の人民による人民のための政治」と語ったリンカーンはアメリカ独立ではなくて、アメリカの南北同士の争い、南北戦争の方です。分かりにくいよね!

まとめると、イギリスから独立して、アメリカになるぞ!のタイミング。自分たちが何者か?イギリス人ではない!アメリカ人だ!と人々がまとまるためのテーマソングの一つが「アルプス一万尺」の原曲「ヤンキードゥードゥル」の替え歌だったそうです。

歌詞がとっても反英感情たっぷりなようで。俺たちを馬鹿にする曲を皮肉たっぷりで返してやろうということなのでしょうか?流石元々はイギリス人。ブラックな返しがお見事です…なんてね。

アメリカ愛国歌がなぜ日本に?

では、そんなアメリカ独立のための曲がいつ日本に入ってくるのか?

江戸の末期…それもなんと、ペリーが浦賀来航し、その行進曲として選ばれた、と。本当にアルプス踊りしている場合ではない!!

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日本での記念すべき初演奏が「日本開国しなさい」行進の時だなんて、驚きです。

ちなみにアメリカ陸軍が愛国歌として演奏して、歌ってる音声がWikipediaに上がってますが、本人たち格好つけているはずなのに、アルプス一万尺の歌詞が浮かんでしまい全然集中できません。

あとこれは浦賀で見つけた歯医者さん。

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これがCMソングはじめ、有名な童謡の一つとして、定着していったということになるのです。

が、最初はやはり、「ヤンキードゥードゥル」という嘲笑が含まれる曲なわけで、日本語に訳されたものもまぁ、すごい歌詞です。ちょっと意訳気味ですが、元々の嘲笑を意識して書いてみますね。

「爺父(おやぢ)と兵舎に入って見たら、男らがうじょうじょ居たよ

(合唱):ヤンキーやろ、やくざ!ヤンキやろ、おしゃれして、踊りふざけて女をたらし込んでら!」

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怖い。あの「ランラランラ」の可愛いイメージはどこへ。どうして湧いてきた!?

ますますアルプス一万尺って!?と謎が深まります。やくざ!って怖いわ。

ちなみに「アルプス一万尺」の歌詞を作った人は諸説あるものの、不詳。特定や有力な人物が定まっていないそうな。

ただ、テレビラジオをはじめ、NHKの番組「みんなのうた」が最初の放送とのこと。

当時の背景としてはテレビが普及し、子どもたちがテレビのCMソングや言葉を真似する。しかし、決して良い言葉遣いばかりとは限らないわけですよね。

そこで、「みんなのうた」という番組は「子どもたちの口から美しい言葉が紡がれてほしい」という趣旨で出来ました。

子どもが純粋無垢みたいな思想、本当にそうだろうかと思うところはあります…だって、私森が木だった頃、蟻の巣に水を注いだら、どうやって慌てて引っ越ししたり、避難するのかなと気になって、水を大量に注いで観察して喜んでいたのです。蟻は泳げるのかな、と水溜りに浮かべて実験していたのです。

倫理観が育ちきってない子どもの恐ろしさよ。子どもって残酷なだと自分自身の過去を振り返っても思うのです…という話の脱線がまた起こる。え?子どもというよりは森が木だった頃が物騒?まっさかー!

閑話休題。この「みんなのうた」で放映するというタイミングで、どうやらアルプス一万尺のあの元気で明るいイメージに変えられたということだそうです。放送は1962年とのこと。もうすぐ60周年!

間違っても「ヤンキーやろ、やくざ!」の歌詞は使えないので、日本アルプスの登山を題材に歌詞がつけられたようです。ここでようやく明るいイメージに

つまり、スイスのアルプスではないので、あのどこからぶら下げてるんだブランコは無関係なのです。

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実際に何番まで歌うのかは種類があり、順番もそれによって変わるそうです。ただ、29番までのを見ていると、片思いの歌かな?とか、もしかして好きな人が帰らぬ人になっていないか?など想像が膨らみます。

だって、アルプスの山に突然登りはじめて、やまびこは返ってくるけど、自分のラブレターは届かないと嘆いたり。お花畑で好きな人の夢を見るくせにまだ山を登り続けて山にいて花摘んで…歌詞から男性側の気持ちを歌ったとわかるのですが、何やら切ないです。

ということで、29番までの歌詞についてを貼ったりして、今回は森は静かに眠りに向けて夕焼けを楽しみます。といいながら天気悪いので、過去の写真で黄昏ましょう。

結論 アルプス一万尺って何!?

①元ネタはアメリカ民謡、愛国歌

②イギリスから独立するときのテーマソング

③ペリー来航時に日本で初演奏

④NHK「みんなのうた」で取り上げるにあたって「アルプス一万尺」として明るい歌詞がつけられる

⑤誰もが知ってる童謡のひとつになり、CMソングなどにもなっていく

⑥いちばん長いバージョンは29番まであるし、なんか切ない

同じことに触れているところもありますが、歌詞をまとめて写真付きで解説してあるので、読んでみてくださいな!↓

「アルプス一万尺って?小槍って? 」https://kakutama.com/mame-alps


森のくせにあまり山に行かないので、写真がないのですが、浦賀の写真を載せときますね。


神社で出会った猫ちゃん。対岸の神社に渡るための渡し船。200円くらいで乗れます。自分側の岸にいない時やお昼時はチャイムを鳴らして、乗せてと呼び出します。

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あとは神津島の写真。まずは岩肌が荒々しいものから。

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