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昼休みの池袋、屋上で青空とサボテンを愛でる|TRAVEL LIGHT #2
休み時間は自由を感じて過ごそう
外出の多い会社員ならよくある、ちょっとした空き時間。そういう時はターミナル駅にいることも多くて、駅前は人混みで落ち着かないし、いちいちカフェに入るのもお金がかかる。なんとなく仕事気分で、肩の力も抜けない。
私は池袋駅にいた。時刻はちょうど昼休み。場所が違えば、Googleマップに星をつけているお店に意気揚々とお昼を食べに行くかもしれない。でも東口の階段をのぼりかけて足が止まる。
人の群れに合流して信号を渡り、居心地の良さそうなお店を探すけど見つからなくて、半端に疲れてコーヒーチェーンに入る自分の姿が思い浮かんだ。そこでもメールチェックをしたりして、とにかくずっと下を向いている。
こんなにいい天気なんだから、青空を眺めて過ごしたい。ゆったりと心を開放して。そう思った私は、階段を降りて、西武百貨店のエレベーターに乗る。9階屋上「食と緑の空中庭園」へ。
屋上に出ると、急に五感が蘇ったみたいに、匂いや風を感じた。大きく息をする。上を向かなくても、ここでは空に包まれる。
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ここに初めて来たのは、もうだいぶ前。仕事で池袋に来て、短い休憩でもお昼が食べられるお店を先輩に伝授してもらったんだった。
それが、「かるかや」。手打ちならではの不揃いでコシのあるうどんが食べられるお店。当時より若干値上がりしているけど、ワンコインで食べられるメニューもある。
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私が選んだのは「スタミナうどん」(650円)。卵や揚げ玉で少しこってり、ネギの向こうに山菜がのっているのがさっぱりおいしい。うどんは温かくて、日差しはぽかぽかで、風はちょっと冷たい。このバランスがなんかいい。
同じように一人でうどんをすする人の姿がちらほらと。休日はまた違う光景なのだろうけど。平日の昼を外で過ごせるのって最高だなあ。ついのんびりしてしまうが時間はそんなにない。それなら、もうあそこに行かねば。
同じ屋上にある「鶴仙園」は、創業90年以上のサボテンと多肉植物の専門店。池袋に来ると必ず寄りたくなってしまうお店。
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じっくりゆっくり見ながら歩く。心地よい音楽が流れている。あれ、聞き覚えがある。Penguin Cafe Orchestraの曲だ。好きな音楽と、素敵なサボテンたちに囲まれて、心がじわりとなった。そんな瞬間、あるサボテンと目が合う。うつくしく、優しげなお姿。淡いお花がもうすぐ咲きそうだ。
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しばらく目が離せなくて、こういうのは一期一会だからと思い切ってレジへ。コンパクトに包んでビニールに入れてもらう。リュックにすっぽりと入った。サボテンを背負った私は地上へ降りていく。
いろんなことがあった気がするのに、まだ一時間も経っていない。あと5分でできること。そうだ。東口の西武百貨店から西口の東武百貨店(ややこしい)へ一直線に歩く。デパ地下のスイーツ売り場は賑わっている。手土産の箱入り菓子を買っている人も多い。私が探しているのは、カバンにそっと忍ばせられる自分だけのおやつ。
「クラブハリエ B-studio」は、滋賀が本店のバームクーヘン屋さん。子どもの頃におじいちゃんに買ってもらって以来、好きなお店。日持ちする箱入りのものもあるけど、ここで買いたいのはカットバーム。賞味期限は当日なので出来立てを味わおう。
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リュックに2つのお土産を入れて、改札へ。駅前で過ごす一時間。都会の雑踏でうつむいているだけでは、心は閉じていくばかり。でも、休み時間は自由だ。カメラを持って歩き回っても、おいしいお店を探しても、お花見してもいい。
自分がほっと息をつける場所を探して、ちょっとしたお土産を買ってみる。旅気分で日常を過ごす、ショートショートトリップ。こういうのも悪くない。
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