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都市

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都市計画、建築について
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#都市

時代に与えられた関心

もし1970年代に大学生をしていたなら、 私は「古いものは改善しよう!新しい建物で新たな時代を築こう!」と言っていたのだろうか。 なぜ私は今、地形や都市の歴史を大切にしているのだろう、街歩きが好きなのだろう、懐古趣味に走るのだろう。 すべて時代に与えられた関心なのかもしれない。 そう思うと、自分が好きなものがぐらぐらと揺れ始める。 時と場所が違えば、好きなものが変わるのか。 何かを好きな理由が、「時代がそう言っているから、流行っているから」だとしたら、私が唾棄すべ

帰ってきた、という感覚

新幹線は人間のこころの許容速度を超えていると思う。 数時間前まで数百キロ先にいたのに、もう戻ってきた。 飛行機はまず飛んでいる時点で理解の範疇を超えているので、浮ついた気持ちのまま瞬間移動した気分になれる。 新幹線は鈍行電車の延長のような顔をして地に車輪をつけて走るから、騙される。 こころが追いつかないが、ともかく帰ってきた。 この帰ってきた、という感覚は人によって違うと身に染みた。 地元のもつ空気は知らず知らずのうちに自分の中に多く含まれている。 故郷の駅に降り立

都市哲学もどき#5

こんにちは、だるまです。西村幸夫の『都市から学んだ10のこと』を読んで触発されました。 都市を学ぶことと写真を撮ること 「都市の写真を撮る」とは「意図的に空間を切り取る」という街に対する能動的な行為を含んでいる。 何を切り取りたいか考えることは、都市の魅力を探していることに等しい。 どんな構図でシャッターを切るか、常に周りの環境を見つめ、歩く。 目的地のために移動する時、街はその姿を隠して黒子となっている。しっかり対象として見つめなければ、街の魅力は見えてこないと思

だるま氏、京都をやや都市論的にさまよう|京都ぽんぽこ日記②

こんにちは、だるまです。都市を学ぶ大学生らしく、京都という都市について考えながらさまよいました。 旅行中に思索にふけったのは初めてであり、その原因は旅の前に鷲田清一の『京都の平熱』と小山薫堂の『ライカと歩く京都』を読んだからです。 都市哲学もどきの番外編として、「都市論的」に考えたことをつらつら述べようと思います。 観光と聖地巡礼 観光とは、イメージの再確認である、とよく言われる。 いわゆる京都「らしさ」を求めて、私たちは京都を目指す。 着物を着て、産寧坂を歩いて、演

だるま氏、京都をやや写真的にさまよう|京都ぽんぽこ日記①

こんにちは、だるまです。念願の京都旅行を大体4つくらいの記事から多面的に振り返ろうと思います。なんだか途中で挫折しそうです。 京都をぐるぐるさて、『森見登美彦の京都ぐるぐる案内』には「登美彦氏、やや文学的に京都をさまよう」というコラムがあります。内田百閒や梶井基次郎、上田秋成、夏目漱石など名だたる文学者の逸話とともに京都が描かれています。 これをだるまに当てはめれば、この度の旅行では「だるま氏、やや森見登美彦的に京都をさまよ」ったのであり、「都市論的にさまよ」い、「写真的

東京地形・建築巡り 表参道

「こんにちは、上島珈琲です。淹れたてコーヒー無料でお配りしておりますー。どうぞお立ち寄りくださいませー。無料でお試しいただけますー。」 声と声が重なり合う。 朗らかな土曜日、私用で表参道へ行った。 お気に入りの本屋さん、山陽堂書店の隣で珈琲が無料で配布されていた。 静かな店内と、珈琲を勧める掛け声が対照的だった。 うるさいな、無料だと行列になるんだなと思いながらも、本屋さんを出てついつい珈琲をもらってしまった。美味しい。 表参道には暗渠化した渋谷川が交差している。渋

都市哲学もどき#4

こんにちは、だるまです。 都市を語る会vol.4に参加できなかったため、議事録を読ませていただき、考えを発散させることにしました。そういえばvol.3について書いていなかった。 さて、テーマは「街歩き」についてだったようです。 (まちあるき、街あるきなど色々ありますが、街歩きに統一します。) 街歩きはネットで十分? 議事録に、「Googleマップのストリートビューで街歩きは十分ではないのか?」という文言があった。 おもわず「へ?」と言ってしまった。それくらいびっくり

都市哲学もどき#3

こんにちは、だるまです。 都市哲学もどきも3回目になりました。#2はレポートが進まな過ぎて血迷った雑文でしたが、今回は「都市を語る会 vol.2」の振り返りです。 どんな空間が好きか? 建築が好きな友人は、背景のある建築物が好きだそうだ。 だるまも、歴史がある空間が好きだ。ハリボテの空間は好まないといったら、あまり伝わらなかった。本物らしくした、ちゃっちい空間のことを言いたかったが、そういうところが好きな人もいた。 歴史も時間の蓄積にすぎないので、今のハリボテも将来

都市哲学もどき#2

こんにちは、だるまです。 レポートに求められている趣旨と、自分の書きたいテーマが齟齬をきたしはじめたので清算します。 前回は「都市を語る会」で話した内容をつらつらと書きました。第2回が開催されるようで、楽しみです。 断章 さて。ブツブツと話題が変わります。「断章」というと許されるらしい。 都市や都市計画を語るうえで近頃欠かせないテーマが、人口減少と少子高齢化です。 そもそも、人口拡大と工業化による都市への人口流入、経済成長の文脈で、「いかに都市をコントロールするか」

都市哲学もどき#1

こんにちは、だるまです。 友人と都市について語る会をしたら、学びたいスイッチが刺激され頭の中がぐるぐる。 落ち着くために散歩しました。 永井玲衣さんが言っている、「自分で自分を散歩させてる感覚」、まさにそれだ。 図書館を目的地にして、往復1時間。 途中で建設途中の道路をみつけたり、古本屋さんをみつけたり、有名な建築事務所をみつけたり。 刺激があって、落ち着くどころではなかったけど、すっきりはしました。 話題がそれました。 都市を語る会で話したことは多種多様。

読書記録34 やりたいことがたくさんありすぎて息苦しくなる世の中へ

こんにちは、だるまです。年の瀬ですね。 冬休みに読みたい本の『図解 パブリックスペースのつくり方』を読みました。 設計課題で参考になったであろう14の事例が写真や平面図、断面図、ダイアグラムで紹介されていました。 事例ももちろん興味深いのですが、村田周一さんの文章に感銘を受けたのでここに記します。 (「コラム 設計者が思う、居られるパブリックスペース」より引用) だるまが感じていた違和感の正体が見事に言語化されていて、思わず音読しました。 ハリボテのキラキラや、や

読書記録18『まちづくりの仕事ガイドブック』饗庭伸ほか -都市を学ぶ学生の将来とは‐

都市関係の本3冊目は、お仕事に関する本です。 この本では、まちづくりに関わる63つの仕事を分野ごとに見開きでまとめています。 その分野で新しく起業した人のインタビューも掲載しているため、仕事の様子が想像できます。 興味のあった仕事63つの仕事の中で「何でもノート」にメモしたものをまとめます。自分の興味の範囲が見えてきたらいいなと思います。 5つの分野ごとに紹介します。 ①コミュニティとともにプロジェクトを起こす ○エリアマネジメント 不動産やまちづくり会社で、一定

夏休みに巡った建築・8月

こんにちは、だるまです。 都市計画やまちづくりを勉強している割に建築を眺めるのが好きで、興味のベクトルの変化を感じた夏休みです。 夏休みに見学した建築について写真とともに簡単に紹介していきたいと思います。 東京オリンピック関連言わずもがななので、コメントは控えます。 「茶室 五庵」2021 藤森照信 「新国立競技場」2019 隈研吾 「東京カテドラル大聖堂」1964 丹下健三丹下建築の傑作だと思います。大空間なのにもかかわらず、温かみが感じられました。シェルの施工

読書記録17『丹下健三と都市』豊川斎赫 -スターだらけの丹下研-

こんにちは、だるまです。夏休み都市関連の本2冊目!『丹下健三と都市』を読み終わりました。 丹下健三について夏休みに行く予定の展覧会の、予習を兼ねて。 丹下健三は大大大先輩であり、都市工学の創始者であり、「東京カテドラル聖マリア大聖堂」や「代々木体育館」、「東京都庁舎」などを手掛けた建築家です。 内容について肝心の内容ですが、だるまにとっては少し難しく把握しきれませんでした。 章立てはこちら 第一章 国土と風景 第二章 都市と祝祭 第三章 メタボリストの躍進 第四章