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これからの数値計算は、Pythonで!― 近刊『Pythonによる数値計算法の基礎』まえがき公開

2021年6月下旬発行予定の新刊書籍、『Pythonによる数値計算法の基礎』のご紹介です。
同書の「まえがき」を、発行に先駆けて公開します。

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まえがき

近年のコンピュータ技術の発展には目覚ましいものがあり、理工系分野においても、各種のシミュレータを駆使した設計や研究が盛んに行われ、多大な威力を発揮している。このような背景において、どのような分野であろうと理工系の内容を学ぶには、必要な種々の応用数学を学び、理解するのにとどまらず、数値計算により種々の問題を解決していく、いわゆる“理工系に必要な数値計算手法”を専門科目を理解する過程において身につけることが、必要不可欠となってきている。

本書は、そのような背景をふまえ、各種の数値計算手法の中から筆者らが、理工系分野を学ぶ際にとくに必要と思われる内容を選択し、かつ理工系の応用面を重視して書き上げたものである。

すなわち、本書の特徴は、

・プログラミングに至る純数学的な部分を他の専門書にゆずり、一つひとつの単元を比較的短く簡潔にし、
・理工系分野に関係する例題を多く取り入れ、これらの例題に対するプログラミングや多くの演習問題を通じて、実践的に数値計算手法の考え方を理解するようにした

点にある。また、プログラミング言語は文法が平易で、プログラミング初心者にも扱いやすい「Python(パイソン)」を選択した。さらに、理工系分野で一般的なラプラスの方程式や波動方程式などを複雑な境界条件のもとに解く例題も取り上げ、数値計算がいかに理工系分野に威力を発揮するかを理解できるようにしている。要するに、“本書を通じて数値計算手法に慣れ親しみ、その威力を実感し、道具として柔軟に活用できるようになること”を念頭においている。

本書は、主に大学1年次後期から3年次の学生諸君を対象と考えている。この場合、すでに各種の専門科目を履修した学生諸君には、履修時にその分野の数学や例題に取り上げた専門科目を習得している人もいると思われる。その場合には、本書は、理工系分野の数値計算の書という観点より、さらに応用数学や専門科目を体系的に整理・活用する書として役立つようにと考えている。

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Pythonによる数値計算法の基礎
https://www.morikita.co.jp/books/book/3630

共著:橋本修 毛塚敦

ポイントを押さえた解説とPythonコードで、はじめてでも学びやすい入門書

【本書の特長】
・簡潔な説明で各章がコンパクトにまとめられているので、学びやすい。
・例題ではPythonのプログラム例が掲載されているので、実際にどのように計算するのかがイメージしやすい。
・複雑な境界条件で一般的な方程式を解く例題も用意されているので、数値計算の有効性が理解しやすい。

【目次】
第1章 非線形方程式
 1.1はさみうち法
 1.2ニュートン法
 1.3 逐次近似法と摂動法
 演習問題

第2章 数値微分と数値積分
 2.1 差分
 2.2 数値微分
 2.3 数値積分
 2.4 DFTとFFT
 演習問題

第3章 連立1次方程式
 3.1 基礎事項
 3.2 緩和法
 3.3 掃き出し法
 3.4 ガウス・ザイデル法
 演習問題

第4章 常微分方程式
 4.1 テイラー法
 4.2 オイラー法
 4.3 ルンゲ·クッタ法
 4.4 連立常微分方程式の解法
 4.5 高階常微分方程式の解法
 演習問題

第5章 補間と近似
 5.1 最小2乗法
 5.2 ニュートンの補間法
 5.3 スプライン補間法
 演習問題

第6章 偏微分方程式
 6.1 差分法
 6.2 時間領域差分法
 6.3 モーメント法
 6.4 有限要素法
 演習問題

演習問題解答
参考文献
索引

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