「これからの内燃機関」の基礎を学ぶ―—近刊『基礎から学ぶ 内燃機関』まえがき公開
2022年11月下旬発行予定の新刊書籍、『基礎から学ぶ 内燃機関』のご紹介です。
同書の「まえがき」を、発行に先駆けて公開します。
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まえがき
内燃機関は、自動車、二輪車、船舶などの輸送用機械、建設機械、作業機械など、さまざまな機械の動力源として用いられ、人々の生活の中に広く浸透しています。それゆえ、環境・エネルギー問題との結びつきも強く、社会的にも大きな関心が向けられながら進化をしてきました。
昨今、持続可能なエネルギーシステムの実現に向けて、内燃機関にも大きな変革の時期が来ているといえます。たとえば自動車用の内燃機関は、ガソリン、軽油などの燃料を使い、自動車を加速させるための動力を自在に発生させることが主たる用途でした。現在は、ハイブリッドシステムを用いた自由度の高い運転モードを実現する要素としての内燃機関の用途があります。これらの用途では、内燃機関の使い方が従来とは異なります。つまり、設計コンセプトが異なる内燃機関が必要になります。
加えて、化石燃料をベースとした既存燃料から、水素、合成燃料、バイオ燃料などへのシフトが計画されています。
つまり、これからの内燃機関は、燃料の変化、電動化などによる使い方の変化が同時に検討されていくと考えられます。新しい燃料の特性を有効に活用した高効率内燃機関の開発、電動化技術と内燃機関技術を融合した新しいコンセプトの内燃機関の開発など、これまでの開発の流れとは異なる新しい技術の創生が求められるといえます。
以上のような観点から、内燃機関の研究開発を行ううえで、基礎に立ち返って内燃機関を理解することが重要だと考えられます。
本書は、上記の観点を基本とし、内燃機関を始めて学ぶ方のために、主に内燃機関の研究、実験、設計に携わる方を想定し、内燃機関の基礎事項を記したものです。
主に、機械系の大学の3年生以上を対象とし、内燃機関の理論と実際について、熱力学等の基礎的な観点から理解することに重きを置いています。なお、企業において内燃機関の設計や開発部署に配属される方々には、学生時代に内燃機関を専攻してない場合が多いようです。また、内燃機関にはさまざまな学問が関係するため、機械工学以外の分野を専攻してきた方も多いです。そのような方々が、内燃機関の性能や熱効率や排ガス特性を原理的に学ぶことができるように、内燃機関を理解するために必要な熱力学についても丁寧に説明をしました。本書が、内燃機関の基礎を学ぶための一助となれば幸いです。
(以下略)
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燃料のクリーン化、電動化技術との融合など、時代にあわせて進化を続ける内燃機関技術について、エンジンの性能測定・高出力化/熱効率向上・燃焼などの基本から、排ガスのクリーン化・冷却といった周辺技術まで、幅広く学べるテキストです。
わかりやすい解説と豊富な図で直感的な理解が得られ、さらに例題や演習問題を解くことで、つまずくことなく学べるよう工夫されています。
エンジンの理解に不可欠な熱力学の復習から近年の発展的な技術までフォローした、初学者におすすめの1冊です。
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