2023年11月下旬発行予定の新刊書籍、『エッセンシャルテキスト パワーエレクトロニクス』のご紹介です。
同書の一部を、発行に先駆けて公開します。
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はじめに
パワーエレクトロニクスは電力、電気エネルギーを扱う電子工学である。日本では火力、水力、太陽電池などによって約1兆kWhの電気エネルギーが生成され、その約50%がモータ、約10%が照明、約5%がIT機器で消費されている。電気エネルギーをこれらさまざまな用途に使うために、電力を変換、制御する重要な技術がパワーエレクトロニクスである。
本書は、主に大学や高等専門学校の学生を対象とした半期2単位分のテキストである。著者は、大学においてパワーエレクトロニクスの講義を長年行ってきたが、最先端の技術を扱うには基礎を理解することが必要不可欠であると実感してきた。本書は、講義で使用してきた教材をもとに、基本となる部分を取捨選択してまとめたものである。とくに以下の点に留意して執筆した。
パワーエレクトロニクスでは、半導体素子のオン、オフによって電流の流れる回路が異なる。それがわかるように、回路構成と電圧、電流波形を対応させて説明している。
インダクタやキャパシタの基本的な性質を用いて、回路動作の本質を理解できるようにしている。
DC-DC変換については回路動作を説明するだけでなく、インダクタの配置位置により降圧形、昇圧形、昇降圧形の回路が構成されるという説明により、3方式の基本的な違いを理解できるようにしている。
各章をほぼ講義1回に対応させている。そして章末問題を解くことにより、講義1回ごとに理解を確かめながら進めることができるようにしている。
上述の点に留意しながら執筆したつもりだが、説明不足な点や独善的な点もあるのではないかと考えている。読者の皆様からご意見いただければ幸いである。
(後略)
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