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#503 審判と教育

この話題には触れないつもりでいたけれど、やっぱり触れることにする。

少し前になるが、審判についての話題が活発になった。今、北海道で行われているソフトテニスのインターハイ。男子個人戦決勝戦、坂口・野本ペア(尽誠学園)と根岸・中尾ペア(東北)の試合において、中尾選手がマッチポイントで放ったスマッシュがライン上でのインかと思われたが判定はアウト。その後、接戦の末に惜しくも根岸・中尾ペアは敗北となったというものだ。

この判定に関して、会場は異様な雰囲気に包まれたらしい。際どいボールではあったものの、大多数の人がインだと確信するボールだったからだろう。僕は現地にもいなければ中継も見ていなかったが、映像や画像から見るに、たしかにインかもしれないと思った。ただし、インターハイの決勝という非常にハイレベルな戦いにおいて、人の目で行う審判に微妙な判定は避けきれるものではない。

時をほぼ同じくして、夏の高校野球、神奈川県予選の決勝戦、横浜高校対慶応高校の試合において、ダブルプレー成立と思われた場面で二塁フォースアウトを狙った遊撃手の足がベースに触れていなかったとの判定によりセーフ。この後、横浜高校は逆転3ランホームランを浴び、惜しくも敗退となった。この場面でも、非常に難しい判定となったため物議を呼んでいる。僕も映像を見たが、角度や土埃の影響もあって足が触れていたかどうかの判別はつかなかった。

これらのことについて、至って普通の意見ではあるが、2つの私見を述べたい。

1.審判を守るためにも、映像による検証を

まず、学生によるアマチュアの大会であるためか、いずれの場合も映像による検証が行われていない。高校野球も試合が多いが、ソフトテニスの個人戦など試合数は膨大になるので、全ての試合において鮮明な録画をしてリプレイ検証をするのは難しい。しかし、今回のような決勝ともなれば最後の1試合になるのだし、ある程度工面できるのではないかと思う。

今回の2つのケースについて、いずれも審判の誤審であると断定して批判、あるいは誹謗中傷のようなことをしている人もいるが、この炎天下において高い集中力をもって審判業務を行っているだけでも大変なこと。その中で起こりうるミスや難しい判定をカバーするためにも、限られた試合だけでも映像による検証を導入したほうがいいのではないか。

2.抗議や確認が満足にできない

学生スポーツであるが故なのか、判定に対する抗議や確認を求める行為があまり良しとされない風潮がある。しかし、違和感を感じたことに対して適切な確認を行うことこそ、教育上必要なことではないかと思う。

ソフトテニスにおいては選手(団体戦では監督も)が判定についての確認を行うことができる。しかし、高校野球ではできないらしい。審判の判定には潔く従うクリーンさを求めているのかもしれないが、違和感があっても黙して従うような風潮は、あまり良い教育とは思えない。確認をして、説明を受けて、それでも判定が変わらないのであれば納得して次に進む、というのがより良いステップではないだろうか。

今回のソフトテニスインターハイの件では、不利な判定を受けた根岸・中尾ペアの振る舞いが毅然として素晴らしいとの称賛もあった。それは間違いなく素晴らしいスポーツマンシップだと思う。ただ、そこを美化して終わりではまた同じようなことは起こる。大切なのは、こうしたモヤモヤを次は回避するための策について議論することではないだろうか。

(了)

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