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#449 スーパープレーは相手の攻めの裏返し

相手が攻めている、相手に攻められているから生まれるスーパープレーがある。

岡山では今、全日本ソフトテニスシングルス選手権が開催されている。そんなタイミングではあるが、今年開催されたルーセントカップ東京インドア大会の女子決勝戦の映像を観た。対戦カードは高橋・半谷(どんぐり北広島)vs貝瀬・渡邉(ヨネックス)である。

9ゲームマッチのファイナルゲーム11オールまでもつれる大接戦だったわけだが、インドアの女子の試合でよく見られる長いラリーの応酬ではなく、多くの人が御存知の通り高橋・半谷ペアがダブルフォワードの陣形を多用することもあってテンポの速い迫力のある試合が展開された。

試合の終盤にかけて、高橋・半谷ペアの怒涛の攻撃に対して渡邉選手の超反応、スーパーフォローが会場を湧かせるシーンが度々ある。打球のコースを瞬時に予測して入り、速いボールに対しても瞬時に身体の向きを入れ替え、必要最小限のラケット捌きで的確に相手コートに打ち返す技は、見事というほかない。

相手に近い前衛のポジションでそれだけのプレーを連発する渡邉選手が素晴らしいのは言うまでもないが、一方でそれだけのスーパーフォローを連発するまで追い込んでいる高橋・半谷ペアの攻めも見事。これだけフォローされると気持ちが萎えたり無理に決めようと力んでしまいそうなものだが、同じ形で再トライしたりパターンを変えたりして攻め続ける技術とメンタルがとにかく凄い。改めて、もうこのペアの試合を見ることがないのかもしれないと思うと寂しい限りである。

野球の守備で、逆シングルハンドでの捕球やダイビングキャッチなどは一見派手だが本当の名手は無理なく捕れる場所に最初からいるので、派手には見えないプレーにも実は凄い技術がたくさん詰まっている、というような話がある。サッカーでは、ゴールキーパーがスーパーセーブをするということは、ペナルティエリア付近まで攻め込まれているということの裏返しでもある。

スーパープレーが素晴らしく見ごたえあるのは間違いないが、それをさせている相手の攻めもまた、申し分ないものである。そうやってみると、確実に相手を追い込んでいく攻めの技術や戦術の学びがあるのではないかと感じた。

(了)

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