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#495 笑ってりゃなんとかなる

昨日の夜は日向坂46・影山優佳さんの卒業セレモニーの配信を見ていた。21時すぎに練習会が終わって、流石にもう終わっているだろう、22時からのリピート配信を帰宅してから見ればいい、と思ってスマホで配信アプリを起動してみると、なんとまだ影山さんのスピーチが続いていた。結局、生放送が終わったのは22時直前。リピート配信は10分遅れで開始された。

グループからの卒業ということで別れを惜しむ涙も多く見られたが、それと同じかそれ以上に、影山さんらしく笑顔にあふれるセレモニーだったと思う。それは影山さんの言葉にも表れていて、セレモニーの中で影山さんが座右の銘としてよく口にしている言葉が「笑ってりゃなんとかなる」だということにも触れられていた。ただ、この言葉には背景がある。

影山さんの7年間のアイドル人生がどのようなものだったのかは長くなるので抜粋になるが、2年間の休業を経て復帰してからは「趣味は勉強」と言わしめるほどの知識量と頭の回転の速さ、幼少期からサッカーが大好きで元日本代表の内田篤人さんにも「アイドルの知識量じゃない」と言われた造詣(ぞうけい)の深さなどから、グループ活動以外の分野でも幅広い活躍をされてきた。特に昨年のサッカー・カタールワールドカップでは多くの番組に出演され、個人とグループの名前を広められた。

それは間違いなく、グループにとって大きな貢献であり功績であるのだが、影山さん自身はその活動に何の意味があるのだろう、どんな貢献ができているのだろうと葛藤することもあったそうだ。だからこその「笑ってりゃなんとかなる」なのかもしれない。

哲学的な話になるかもしれないが、突き詰めていけば芸能活動にしたって何にしたって、言ってしまえば生きていることに意味なんて必要ない。動物は生存本能に従って生きるし、空腹であれば食べるし、眠たければ寝る。そこに意味なんてものを付けようとして悩み苦しんだり喜び楽しんだりするのは人間くらいで、それはやはり人間が理性というものを持ち合わせているからだろう。

意味なんてなくたって生きていていいし、僕たちがやっているスポーツ(僕の場合はソフトテニス)だって、やることに意味や目的なんて本来は見出す必要はない。しかし我々は理性を持った人間の作り出した社会の中で、意味について考えるコミュニケーションをして生きている。その環境の中に身をおいているから、ときに理性が本能を凌駕して自分の行動に対して疑問を持ってしまったり、ひどければ生きていることにさえ意味を感じられなくなって自ら命を断ってしまったりする。

人として豊かに生きていくために、自らの行動や実績に対して意味を見出したり価値を与えていくのは決して間違っていないと思う。ただし、それにばかり気を取られると誰かと比較して自分をちっぽけに感じてしまったり、自分を追い込んでしまったりすることもあるから、そんなときは「本来意味なんて必要ないものに対して、意味を創造しようとしているだけで100点」ぐらいに思って心を軽くしてあげてもいいと思う。意味や目的を探したり、目標や夢に向けて努力するのは人生を豊かにしていくためであり、苦しむ材料にしてしまっては本末転倒だ。

ソフトテニスなどのスポーツもそうだ。夢や目標を持ったり、スポーツを通じて自らを高めていくことはとても大切なことだけれど、燃え尽きたり自分を追い詰めるようなことではない。どこか心のなかにこれぐらいの基準を持っていることができれば、選手本人もポジティブにやっていけるだろうし、我々のようなコーチ・指導者の立場にある者もポジティブな気持ちや感謝を持って関わっていくことができるのではないかと思う。

(了)

○この内容をもとにお話したstand.fmの放送は、こちらから聞くことができます


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