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#609 VIPに石を投げてはいけない

11月27日月曜日、愛知県名古屋市にてキングコング西野亮廣さんの講演会に参加してきた。講演会の主題は「夢と金」。西野さんが今年出版された書籍のタイトルと同じだ。

夢を取るか金を取るか、というような二者択一で考えられることが多いが、現実には夢を叶えるためには往々にしてお金が必要になる。夢を死なせないためにも、お金を得るための知識という武装はしておいたほうがいい。

講演会の中身は、挑戦を続けていくための撤退ラインの見極め方の話や販売を続けていくための仕組みの話など、商売をしていくために必要な学びがたくさんあったのだが、最後にお話されたのがVIP戦略について、だった。

2022年、西野さんが市川團十郎さん(当時は市川海老蔵さん)とタッグを組んで制作されたえんとつ町のプペル歌舞伎だが、最前列のSS席を相場より1万円高い3万円に値段設定したところ世間から大いに叩かれて炎上した。しかし、実際にはその席は発売とともに即完売しており、SS席をVIPが購入してくれたがためにA席やB席の値段を下げることができてファミリー層などが子どもを連れて見に来ることができたとのことだ。

プペル歌舞伎の後、キングコングとして行った武道館公演はVIP席が7万円、ミュージカル化して上演したえんとつ町のプペルの舞台のVIP席は10万円と、歌舞伎よりも数段高い値段設定で販売された席には、批判の声は一切無かったらしい。そこにある差は、お客さんがVIP席を設けることによる効果を理解しているかどうか、ということだ。

わかりやすい例として、西野さんは飛行機の話をしてくれる。飛行機はエコノミークラス席からビジネスクラス、ファーストクラスとグレードが分かれているが、東京~ニューヨーク間の片道チケットの料金を合算していったところ約1億円ほどの金額になるらしい。つまり、東京からニューヨークまで飛行機を飛ばすには1億円ほどのお金がかかるということになる。

これを、搭乗客はそれぞれの席のクラスに応じた金額を負担することで支払っていることになるが、もしこの飛行機からビジネスクラスやファーストクラスなどの席を撤廃してすべてエコノミークラスの席にした場合、搭乗できる客数が100人ほど増えるかわりに一人あたりのチケットに課される負担が7万円ほど増えるそうだ。つまり、普段はその分をビジネスクラスやファーストクラスに乗っているVIPが負担してくれているということ。VIPのお陰で安い席は維持されている。

プペル歌舞伎も同じだ。にも関わらず、日本人は金持ち憎しと石を投げて批判する。実際にはそれぞれの経済力に見合った商品を購入することで最低価格が抑えられているのに、そこに目を向けることを知らない人が多い。

目の前に見えていることの裏側や、支えてくれている人の存在に思いを巡らせる。自分の立場だけで物事を考えたら「なんで自分は…」と不満をこぼしたくなるようなこともたくさんあるだろうが、実は誰かのお陰さまなのかもしれない、という感謝の視点を持つ文化が広がれば、精神的だけでなく物質的豊かさにもつながっていくのだろうと思う。

(了)

○この内容をもとにお話したstand.fmの放送は、こちらから聞くことができます


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